内容説明
約束を破る、時代が読めない―こんな田舎大名だから北条氏は滅んだのか?歴史の定説に反し、最初から北条氏の滅亡を狙っていた秀吉の権謀術策を暴く!
目次
定説が語る北条氏の歴史的評価
第1部 東国情勢と北条氏(冷静な判断ができた北条氏政;小牧・長久手の戦いと上杉氏の動向;天正大地震と徳川家康;北条と徳川の絆;反豊臣から親豊臣への転換)
第2部 豊臣秀吉の策謀(定説を覆す「名胡桃城事件」の真相;天下統一と生贄としての北条氏)
小田原開城と北条家の滅亡
著者等紹介
森田善明[モリタヨシアキ]
1967年神奈川県に生まれ、青森県で育つ。駒澤大学経済学部卒業。出版社勤務を経て、現在、歴史研究家として歴史の定説を問い直す作業を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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巨峰
23
郷土史家による北条氏弁護論。しかし名胡桃城を巡る秀吉と真田昌幸の共謀という視点は、司馬さんの小説かなにかで読んだことがあるから目新しくない。北条氏が本領安堵された島津や長曽我部と違うのは、さっさと降参しなかったからに尽きる。島津も長曽我部も、薩摩や土佐に秀吉軍がくる前に軍門にくだったからなあ。城を囲まれたのち城兵の命と引き換えに降参するときは城主切腹は秀吉的には通例でしょう。三木城しかり、鳥取城しかり、高松城しかり、北之庄城しかり。2014/08/18
maito/まいと
17
豊臣政権の物量作戦と北条氏の時代齟齬で滅亡したと言われる小田原合戦、そしてその原因・暗愚と言われ続けた北条氏政を、史料を徹底分析したことで、真相を明らかにした1冊。ある程度定説の正しさを享受しつつも、随所の俗説をバッサリ切り捨てる。北条氏滅亡に至る、これまでの違和感をほぼ解消してくれた内容だ。名胡桃城強奪の真相が、豊臣の謀略という(歴史小説が好きそうな)展開が史実、といしたときはさすがに引いたが(苦笑)、外交テクで北条の認識をボヤけさせていた、という分析はすばらしい分析。2018/11/08
スプリント
6
北条家は潰される運命にあったのか。氏政・氏直が早々に上洛していたら生き延びる道はあったのか。 北条家と徳川家の盟約から滅びる運命だったと思いますね。旧武田家家臣のように旧北条家家臣は関東に転封された徳川家に召し抱えられたのでしょうか。2020/09/23
mushoku2006
6
正直言って、北条氏が秀吉にはめられたのか?否か?については、 全然興味がなくて、 そんなん普通にあったでしょ? 領地欲しいじゃん! てなもんなんですけど、 伊東潤さんが紹介されていたので手に取りました。 そこでも触れられていたんですが、 秀吉の矛先が家康から九州の島津氏に変更となった理由を、 天正の大地震とされているのが興味深い。 あとなかなか秀吉の下に上洛できなかったのは、 お金がなかったからという理由に驚きました。 あれだけの領土があった戦国大名がマジ!?って感じです。 それではどのみち・・・・・2014/06/20
Ryuji
5
★★★★☆長宗我部と島津は安堵され、何故北条だけが取り潰しになったのか?私自身疑問に思っていた。北条氏滅亡は秀吉の策謀で、名胡桃城事件もでっち上げであったと言う仮説(著者に言わせれば真説)の本。推測の域が出ない部分が多々あるが、小田原開戦前までの北条氏の動きを見るとそれなりに説得力のある説ではあると思う。名胡桃城事件が秀吉と真田昌幸の仕組んだ完全なでっち上げで、北条氏側からすれば寝耳に水の話であったというのが面白い。小田原征伐が東国に対するデモンストレーションであったというのはその通りであったのだろう。2015/04/04