時間ループ物語論―成長しない時代を生きる

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  • サイズ A5判/ページ数 287p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784800300188
  • NDC分類 902.3
  • Cコード C0030

内容説明

『涼宮ハルヒの憂鬱』から『ファウスト』、浦島太郎伝説、夏目漱石『それから』まで。絶望の国を生き抜くための白熱講義全12講。

目次

オリエンテーション 恒川光太郎「秋の牢獄」精読―ユートピアに囚われて
時間ループ物語とは何か1 未来喪失という拷問―「エンドレスエイト」ほか
時間ループ物語とは何か2 猶予された時間の生き方―『恋はデジャ・ヴ』ほか
時間ループ物語とは何か3 ゲーム的試行錯誤の世界―『ひぐらしが鳴く頃に』ほか
時間ループ物語とは何か4 悦楽の時間よ、永遠に―『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』ほか
世代対立の不毛を超えて コンテンツ批評諸家の時間ループ物語論へ物申す―『不可能性の時代』ほか
ループものの起源をさかのぼる1 人生時間の伸縮―『ファウスト』、輪廻転生、さまよえるユダヤ人ほか
ループものの起源をさかのぼる2 予知と夢落ち―『フラッシュ・フォワード』「鼠穴」「芝浜」「夢金」ほか
ループものの起源をさかのぼる3 物語の迷宮と時間の近代化―「デス博士の島その他の物語」「毒入りチョコレート事件」『時間の比較社会学』ほか
ループものの起源をさかのぼる4 浦島太郎伝説とユートピアの陥穽―『母性社会日本の起源』『銀河鉄道999』「夢十夜」ほか〔ほか〕

著者等紹介

浅羽通明[アサバミチアキ]
1959年、神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業。「みえない大学本舗」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

49
大学の講義録を本にしたもので読みやすいがやや冗長。ヲタ向けアニメ小説映画ゲームだけではなく、古今東西の創作や神話などから、時間ループもの創作のパターンや願望を探る。時間もの創作の要約や解説が多くそれらは飛ばした。論としてすこし肩透かしかと。この著者のファンであればこれまで主張の繰り返しに思える。だが、いろいろ読みたい本を知ることができ、知的好奇心を刺激する良い読書だった。近年のオタ系評論への言及がある。自分の言いたいことに都合の良い作品を集めているだけではと。納得するがそれは評論の性ではとも思うのだが。2017/01/14

へくとぱすかる

36
時間のループに巻きこまれたら、どうなるか、というSFにかなり近い物語から論をスタートさせる。しかし、漱石の『それから』の主人公・代助の「高等遊民」の生活を、一種の円環的時間を生きることと考えるに及んで、現代人の生活そのものが、すでに円環的に生きているのだと述べる(ようだ)。論の可否はともかく、この本を手に取った人には、少なくともそういう傾向はあるのでは?2016/03/05

梟をめぐる読書

13
表題こそ至ってシンプルで、「まどマギ」や「エンドレスエイト」が論じられるのも、まあ大方の予想通り。なのだが、本書では今まであまり論じられて来なかったSF内外の〝ループもの〟作品も広くカバー、さらにはそうした作品に見られる類型を精査した結果から「時間ループ物語の形を借りて実現される願望は、じつは〝ループもの〟の発明以前にも別の形で表現されていたのではないか」と指摘し日本文学を漱石まで遡る、なかなかに読み応えのある一冊に仕上がっている。「日常系」が円環的時間内部のユートピアという話は、まったくその通りだなと。2012/11/11

またの名

9
若手評論家(東浩紀、宇野常寛etc)のオタク的自閉をネチネチ批判しながらすっかりオタク的博識を披露する羽目に陥ってる、年上世代の評論。ラノべから浦島太郎まで古今東西の様々な物語を検討して現代サブカルのループ物だけを特権化する意識を砕こうとする果敢な試みは、ベルクソンやフロイトの生半可な理解に加えて、直線的時間と円環的時間は要するに犬派と猫派だとか断捨離アートに移行しようとか唖然とさせる話に収束しても平然としている図太さを見せつける。壮大な普遍化を志して散漫な知識をユング思想等にまとめる古き良きオタク評論。2016/01/31

壱萬参仟縁

8
紹介されている本は全く存じ上げない。ただ、読んでいくと宇野常寛氏らが出てきたり(085頁)と、日本の文化シーンに登場する話題にもなっていることがわかる。ニーチェも出てきたりして、何やら硬軟混ざった、緩急のある内容。第11講は夏目漱石が出てきて関心を引く。昔も、今も、いろいろな作品に通じていないと、本書のおもしろさは理解できないのだろう。たいていの読者は、どちらかに傾倒しているだろうということなので。2013/06/01

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