出版社内容情報
第16回『このミステリーがすごい! 』大賞・優秀賞受賞作『筋読み』の著者、受賞後第一作。「脳に特定の三徴候が出た場合、その児童は被虐待児である」。子どもの異変を見つけて病院に搬送した父親の堀尾雄次は、虐待を疑われて任意同行で警察に連れていかれた。筑紫警察署生活安全課の細井は、警視庁にいた「出戻り」刑事・栗秋とともに事件にあたる。しかし細井は、栗秋のとある過去から警察組織への謀反を疑い監視することを決めたが、徐々に彼に惹かれていき……。揺さぶられっ子症候群にまつわる乳幼児用品メーカーと官僚の関係や、虐待の国際的背景を探りながら明かされる真実とは!?
内容説明
「脳の血腫など特定の三徴候が出た場合、その幼児は被虐待児である」。堀尾雄次は子どもに三徴候があったことから、虐待を疑われて警察に連行された。雄次は容疑を否認。捜査に当たるのは、永久出向制度で警視庁から故郷に戻ってきた刑事・栗秋と若手の細井。栗秋の能力を疑う細井だったが、栗秋は上層部の意向を無視して、血腫について捜査を進める。「出向」刑事が、医療業界の闇を暴く!
著者等紹介
田村和大[タムラカズヒロ]
1975年生まれ、福岡県出身。一橋大学法学部卒業。NHK報道記者を経て、現在弁護士。第16回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、『筋読み』(宝島社文庫)にて2018年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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papako
72
作者続けて。つながってるのかと思ったら、全然別ものでした。この作者さん、方言の使い方が唐突だなぁ。出戻り制度で警視庁捜査一課から地方の警察に戻った栗秋。ある事件がトラウマとなっている。そして血腫ができた2ヶ月の新生児、揺さぶられ症候群を疑われた父親が逮捕された。果たして。いやいやそんな三徴候だけで虐待って!もちろん一つの判断材料にはして欲しいけど、乱暴だ。増田院長がいい判断してくれてよかった。栗秋の父親の死の謎、キャリア官僚など絡めて面白く読めた。しかし文章が昭和っぽくて笑ってしまう。狙いだよね。2020/07/09
タイ子
55
生後2か月の乳児の頭に硬膜外血腫が。乳児揺さぶられ症候群の疑いで父親が逮捕。本当に虐待なのか、事故か、原因は他に?動かんとする虐待の兆候に父親は否認。警視庁から地方に出向になった栗秋刑事が真相を追う。栗秋のトラウマになるような過去も語られる中で、虐待を疑わない上層部の元、栗秋は信念に基づき行動。児童虐待に関する厚労省の意図、警察庁との繋がり、医療問題、掘り下げてるのでややもすると複雑になるところ理解し易かったのは文章の上手さか。真実に驚愕、医療の新知識をも得ながらの読了。刑事と上司のラストが爽やか。2019/02/26
ナミのママ
50
デビュー作「筋読み」が面白かった田村和大さんの書き下ろし新刊。冒頭、場面が変わり登場人物が増え少しややこしく感じましたが。虐待を疑われ、無実を訴える男性。捜査に当たる2人の刑事。医療問題も絡み面白く一気読みでした。シリーズ化されるような終わり方も気になります。また一人、追いかけたい作家さんが増えました。2019/03/11
達ちゃん
40
田村さん2作目ですが、前作に続いて今回もすっごく面白かったです。専門用語が出てきますが、色々な謎が絡んで読み応えあり。お気に入りの作家さんになりそうな予感です。2019/08/06
JILLmama
40
このミス受賞者田村さん作品。 1作目の「筋読み」は正直インパクトに欠けたが、 今作、いきなりレベルアップしているように感じた。 突然、生後二ヶ月の我が子の具合が悪くなり救急搬送される。 受診先で硬膜下血腫が見つかり、揺さぶられっ子症候群だと、逮捕されてしまう。 妻は外出中。自分は酒を飲んでつい居眠りしてしまった。その間の事だった。無実を訴えるも、揺さぶられっ子症候群の三大徴候がしっかり揃っていて、誰も信用してくれない。 警視庁から地方へ出戻った刑事と、所轄刑事が事件の真相を暴く!!2019/02/26