出版社内容情報
森に住む魔法使いに拾われ育てられた少年ユカ。14歳になったある日、彼は、育ての母たち魔法使いへの偏見を払拭するために、物語師を志して旅に出る。その道中、リエッキという名の一頭のドラゴンと出会い、魔法使いとしての覚醒を果たすが――。やがて司書王と呼ばれることになる朗らかな少年と、魔法の力で人間の姿を得た意地っ張りな火竜の少女による感動のファンタジー。『このWeb小説がすごい! 』で上位ランクインを果たした名作が、ついに文庫化。美しい言葉と優しい人々が織り成す物語です。
内容説明
物語師を目指して旅に出た少年ユカが出逢ったのは、森の中で孤独に過ごす火竜のリエッキでした。心を通わせたふたりは一緒に旅をすることになります。旅の中で、ユカは魔法使いとして目覚め、リエッキは魔法の力で人間の姿を得たのです。しかし魔法使いは世間から偏見の目で見られていました。その差別を払拭するため、ユカは物語を人々に聴かせるのです。現在と過去を結び、喪失と再生を紡ぐ、感動のファンタジー。
著者等紹介
東雲佑[シノノメタスク]
1987年、群馬県生まれ。2016年、『図書館ドラゴンは火を吹かない』が書籍化されデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
71
親子の愛やひとの孤独、自分の存在意義といった普遍的なテーマを、使い古された中世西洋風ファンタジーに巧く落としこんでいる。「語り」の力を信じる読者なら、誰でもある種の感動を覚えるだろう。……この作品、続編ありますよね?2018/09/19
hirune
42
とても温かくて優しいファンタジーでした。でも 全体のほんの一部分しか語られてな〜い感がすごい。全部語ったらどんな超大作になるだろう…みたいな。ドラゴンのリエッキをスーパーコンピュータに、図書館を宇宙船にまるっと置き換えたら、ステキなSFになるなぁと思って読みました。運命の相棒ユカの全てを受け継いだのに 彼本人を永久に失っちゃって 機械なので後も追えず 悲しみながら永遠に彷徨うとかね。。2019/01/10
ゆう
35
育ての親である骨の魔法使いが悪し様に語られるのを聞き、それを変えるために物語師として旅に出た少年ユカとその途中に出会った火竜の少女リエッキの冒険。最初はちょっと大げさなくらいの言い回しの文章にこういう感じで進むの?って思ったけど、それも気にならなくなり。なんなら語りかけられてるのが面白くなってきて、二人時々仲間増えますな旅にのめり込んだ。ユカの紡ぐ物語が魔法になる。最初なぜ彼女は独りなの?って思ったら、幸せなあの頃と現在か。互いの思いやる気持ちが深かった分、切ない。それでも物語は続いていくのです。2018/12/08
miroku
25
旅のひとめぐり。愛を得て魂の輝きは増す。火を吹かない火竜の悲しみは、愛の深さゆえ。愛おしき傷の疼きは、切なく甘い。2018/11/18
あゆみ
24
★★★★★ タイトル、表紙、挿絵、登場人物、ファンタジーな世界観、全て超好み!魔法使い、物語師を目指す少年、少女の姿になった火竜、好みのファンタジー要素が詰め込まれていて嬉しい!ユカとリエッキが楽しく旅をしていた過去と、ユカを亡くし100年たった今でも図書館の番人をしているリエッキの現在が交互に語られることで、ユカとの幸せの日々を失ったリエッキの深い悲しみがより一層伝わってきて切ない。まだまだ語られてない物語がたくさんあるようで、続編に期待!2019/04/30