危ない「道徳教科書」

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784800286857
  • NDC分類 375.352
  • Cコード C0037

出版社内容情報

監督の「送りバント」の指示を守らず、二塁打を打った星野少年。チームは勝利したが、試合後、殊勲の星野君を待ち受けていたものは意外な「叱責」だった――。2018年より小学校の授業で導入されている「道徳教科書」。個人の尊厳よりも「集団のなかの一員」であることを強く求める教科書はなぜ生まれたのか。文部科学行政に長くかかわった著者が教育に対する政治介入に警鐘を鳴らす。

内容説明

2018年「道徳」が正式教科としてスタート!安倍政権が後押しする「押し付け」教育の実態。

目次

第1章 「押し付け」道徳(小学校で使用される8社の道徳教科書;物議を醸した「星野君の二塁打」 ほか)
第2章 「道徳教育」の戦後史(「革新の思想」としての道徳;1961年の「学習指導要領」改訂 ほか)
第3章 「検定」と教育現場(安倍政権が目指した「パイロット版」作り;固定教科書化した「私たちの道徳」 ほか)
第4章 「評価」と「教科書採択」(懸念されていた「評価」の弊害;教師の間に出回る「評価文例集」 ほか)
第5章 「道徳」で何を学ぶのか(「勉強はできるけど心はよくないね」;河合隼雄先生が語った「人間の規範」の可能性 ほか)

著者等紹介

寺脇研[テラワキケン]
1952年生まれ。東京大学法学部卒業後、75年文部省(現・文部科学省)入省。92年に文部省初等中等教育局職業教育課長、93年に広島県教育委員会教育長、97年に文部省生涯学習局生涯学習振興課長、01年に文部科学省大臣官房審議官、02年に文化庁文化部長等を歴任。06年、文部科学省退官。現在、京都造形芸術大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

18
2018年より小学校で教科化された道徳の教科書の危うさについて論じた内容である。道徳を教科学習の一つとして評価対象とすることが、内面の自由に踏み込むことであり、自発的精神をスポイルすることにつながるというのが主旨である。 特定の思想に誘導する教科書の危うさが分かる。1番酷いのは「星野くんの二塁打」という作品の教科書内での取り上げ方であろう。送りバントという監督の命令を無視してヒッティングに出た星野くんを監督が叱責するという内容だという。上位者の命令を絶対だと子どもに吹き込む。もはやマインドコントロール。2021/04/04

どら猫さとっち

4
今年度より道徳が教科化され、正式な教科科目としての授業が開始した。しかし、そうは思考の主体性を奪うものだった。その背景には、岸信介がやり残した思想、それを受け継ぐ孫の安倍首相が絡んでいた。本書は道徳の教科書の内容から、歴史や本来あるべき姿を検証していく。それにしても、道徳というのはいい上からの押し付けであることには、ただ呆れるばかりである。2018/12/23

フィリッポ・インザーギ

2
教育行政のど真ん中にいた人らしく、説得力がある。実際の授業体験記が面白かった。2019/08/14

MSTR

1
2022年7月に起こった権力者に対する凶行を機に再読した。  この犯行は、押しつけ道徳やマナー強要の副産物かもしれないと思った。 価値観を押し付ける者は、他の価値観の標的になる。 ―― かつて、第2次安倍内閣が2012(H24)年に発足し、美しい国と称して教育改革が推し進められた。そして、前川喜平という文部科学事務次官がいたが、2017年に失脚した。その当時の文部科学大臣は下村博文であり、菅義偉が官房長官であった。――  体制下で成り立つ「教育」が、人格の育成に立ち入るべきでないことを改めて感じた。2022/07/31

星辺気楽

1
政治も教育も、この数年どんどん劣化していく。国民をただの先兵としか扱っていない。2019/05/11

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