出版社内容情報
2016年第14回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作です。金に困っている人を助けたいという思いでメガバンクに就職したが、その内情に失望して三年で退職した百瀬良太。良太は、零細企業を営む兄の金策の過程で“黒女神”、二礼茜と知り合う。茜は目的のためなら手段を選ばない株取引のエキスパートで、依頼人が本当に大切に思っているものと引き換えに大金をもたらす。兄が必要な資金を得るかわりに、良太は茜の助手を務めることとなった。社屋建設費用の借金に苦しむ老舗和菓子屋社長、薬物中毒で死亡した人気歌手の娘の死因を隠そうとする父親など、さまざまな人物が茜を訪ねてくる。茜はなぜこのような活動をしているのか。金を通じて人の心を描き出す。
内容説明
依頼人のもっとも大切なものを報酬に、大金をもたらす株取引の天才「黒女神」。助手を務めるのはメガバンクに失望した元銀行員。やがて二人は壮絶な経済バトルに巻き込まれていく。2016年第14回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。株取引の天才が人の心理を読み解く、新たな経済サスペンス。
著者等紹介
城山真一[シロヤマシンイチ]
1972年、石川県生まれ。金沢大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
324
2016年このミス大賞受賞作。 株取り引きというひどく現代的な題材を 扱った経済小説である。 「黒女神」と呼ばれる仁礼茜の存在感が 抜群で物語に適度な緊張感を与える。 苦境に陥った顧客を冷淡に救っていくという 展開も小気味よい。 やや出来過ぎの感はあるが、 落ち着いて楽しめる..良質の エンターテイメント経済ミステリーだった。2016/07/10
starbro
247
『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作は結構クオリティが高いので毎回楽しみにしています。今回2作大賞受賞の1作目「ブラック・ヴィーナス」。 城山真一、初読です。最初、ブラックジャックのオマージュ的ミステリかなぁと思っていましたが、虎の穴的要素もあり、400P弱一気読みしました。選評にあった通り、現実離れしていて荒削りなところもありますが、面白エンタメとして十分評価できます。映像化も観てみたいと思います。黒木メイサ主役でどうでしょうか?2016/03/10
ナイスネイチャ
220
図書館本。伝説の天才トレーダーニ礼茜。最初は金策尽き果てた人達を救う物語でしたが、だんだん国レベルに。株価の動きを読むのではなく人を読む。疎い世界なので勉強になりました。神がかり的な主人公なのでシリーズ化出来そうですね。2016/05/15
KAZOO
185
この読書メーターでかなり評判になっているので、図書館で借りてきました。連作短編集で私にはかなりはまる感じでした。金融庁のお役人らしき人物なども出たりして楽しめます。たしかに銀行は雨が降っているときは傘を取り上げ、晴れているときには無理やり貸すということを、金融庁の報告書にも掲載されています(つい最近出たばかりのレポートですが)。金融庁も昔に比べて大分顧客寄りになってきています。2016/09/18
つるちゃん0719
141
初読みの作家さんです。第14回このミス大賞作品、表紙とタイトルを見てこれは面白そうと思い購入。最初の予想通り面白く、短期間で読めました。天才的トレーダーの茜が、都市伝説的に黒女神と呼ばれ、大金と引き換えに依頼人のもっとも大切なものを要求する。すごい活躍で大金を稼いでしまう時もらえばスランプに陥るマイナス局面もありドラマライクで痛快な展開で読了感も良かった。最後の章で全てが繋がり、謎が明らかになります。次の展開も続編があれば是非読んでみたいです。2017/09/30