内容説明
警視庁捜査二課主任代理、郷間彩香。三十二歳、独身、彼氏なし。贈収賄や詐欺などの知能犯罪を追う彩香は、数字に手掛かりを求めて電卓ばかり叩いているため“電卓女”と呼ばれている。そんな彩香に刑事部長から特命が下った。渋谷で発生した銀行立てこもり事件の指揮をとれというのだ。犯人が現場の指揮と交渉役を彩香に任命するよう名指ししたという。彩香は困惑しながら臨場するが…。
著者等紹介
梶永正史[カジナガマサシ]
1969年、山口県長門市生まれ。山口県立美祢工業高等学校機械科卒業。現在、コンピューターメーカーに勤務。第12回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2014年に『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
152
これはいい。いい作家だと思う。最近殺人ばかり読んでいたので、こういう展開は新鮮味があってよかった。主人公にも好感持てたし。粗暴犯による立て篭もりに見えたが、実は警察庁まで巻き込んだドでかい展開を見せる。読んでて楽しくなるし、どうしても早く続きが読みたくなる。最後の種明かしはモノローグで無いので長さを感じさせない。後で冷静に考えると、つっこみたい所は出てくるが、読書中にそれを感じさせない速さがある。どうして立て篭もりに捜査二課?というのは受け入れてあげよう。2019/03/07
Sato19601027
95
謎の設定、伏線の回収が素晴らしい。梶永正史さんのデビュー作で、この後、シリーズ化された郷間彩香警部補の事件が描かれる。彩香が属する警視庁捜査二課は、汚職・贈賄などの経済犯罪を摘発する部署で、立てこもり事件には、拘わらない。彩香は、父親の亡き郷間警部の背中を追い、勤勉により昇進してきたが、タイトスカートにハイヒールというOLスタイルで働き、捜査対象を数字で追い詰める電卓女とあだ名される。犯人から交渉役に指名されて、現場に出たことで、捜査官として成長する物語。(第12回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作)2025/02/11
ehirano1
79
書店で一度は手に取るも、やっぱりいいかと本棚に戻し、会計を済ませようとレジへ行くも、レジ待ちでなんか気になって本棚へ戻り、結局買ってしまった本書。勘が当ったのでしょうか、予想以上に楽しませてもらいました。「血の通ったコミュニケーションが全てを変える」、琴線に触れました。続編も楽しみ。2017/02/04
ehirano1
64
「・・・今の悶々とした気持ちも、この先、幸せになるための通り道だと。どんな些細なことでも、辛いことでも、何でも、そこに至るには必要な出来事だった。あとで振り返って、そう思えるように。これまで無意味だったと思っていたことや失敗だったと思っていた事柄を、ぜーんぶひっくるめて輝けるものに変えてしまう、そんな一瞬がきっときます(p135)」、と。なんか元気が出てきました、頑張ろう!2017/12/17
ずっきん
50
銀行立て籠り事件の指揮官に突然指名された捜二の主任代理。出世は早いがアラサー、スッピンブス、男に騙されて別れたばかり。SIT、SATも巻き込んでるのに、なんだこのユルさw 大風呂敷がユーモアとユルい緊張感のなかで「マジか!?」の斜め上へと広がっていく。タイトルからは想像できない超娯楽小説。いや、こういうの大好き♡原題の「真相を暴くための面倒な手続き」の方が断然わかりやすくて面白そうなんだけど。堅い警察小説だと手にとった方はガッカリするかもしれない。伊坂さんとか好きな方の方が楽しめるんじゃないかと思う。2018/06/06