内容説明
難聴を患いながらも、ショパン・コンクールに出場するため、ポーランドに向かったピアニスト・岬洋介。しかし、コンクール会場で刑事が何者かに殺害され、遺体の手の指十本がすべて切り取られるという奇怪な事件に遭遇する。さらには会場周辺でテロが頻発し、世界的テロリスト・通称“ピアニスト”がワルシャワに潜伏しているという情報を得る。岬は、鋭い洞察力で殺害現場を検証していく!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて第8回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し、2010年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょこまーぶる
457
岬洋介シリーズは、最早クラシック音楽の教本で、読んでいながらにして曲の解釈と演奏者の心理状況を知ることのできる読み物である。ワルシャワのショパンコンクールが舞台であるが、盲目の日本人演者はあの方がモデルかな?と思いながら読み進めたが、今回の犯人探しは、えっ!!と驚かされる事は無かったことと、岬先生の謎解き場面が少なかったのがちょっぴり残念であった。しかし、音楽が人の心の葛藤を素直にさせる力があるという事は十分に伝わる一冊であった。そして、この本を読んでいる期間中に、ショパンのCDを2枚購入してしまった。2014/04/19
れみ
329
舞台はポーランド、ワルシャワ。ショパン・コンクール開催中に市内ではテロ、会場では刑事が殺害される事件が発生し、その犯人の正体に迫るのはコンクール出場者である岬洋介…というお話。政治色の強い雰囲気で始まりながらコンクールの緊張感や音楽描写の相変わらずの素晴らしさに引き込まれて時折<ピアニスト>の登場で事件に引き戻される感じ。事件の謎解きもさることながら本人の預かり知らぬところで大変なことになっている岬先生はやっぱり凄い。作中に登場する曲は知らないものが沢山あったので次は曲を聴いてから読みたい。2014/03/01
SJW
293
今回の舞台はなんとポーランドのワルシャワでのショパンコンクール!岬シリーズ、初の海外ロケ敢行(ロケではないか)といった感じ。それもアルカイダのテロで登場人物が亡くなり悲しくて泣いてしまったが、スケールが大きくなっている。主人公はポーランドの音楽の名家の子息ヤンで岬と一緒にコンクールに出る。犯人逮捕はあっけなかったが、ショパンの多くの曲が描写されており、YouTubeで聞きながら読み進めるとあたかもその場所で物語を見ているかのようになり、ストーリーに引き込まれてしまった。2017/10/26
sayan
267
前作「おやすみラフマニノフ」で、主人公である「岬」がショパンの「ノクターン」をもってテロリストを沈黙させたという語りは、個人的にひどく印象に残った。冒頭から政治的な描写が続く本書後半で、ノクターンとテロリストが登場する場面は、高いリアリティと迫力を感じた。本シリーズのなかでも本書はミステリーではなく、ドキュメンタリー(ノンフィクション)テイストが強い印象をもった。本書を読みながらノクターンを聞くと色々と味わい深い。本シリーズ面白かった。2018/04/12
takaC
260
自分のように演奏シーンをぱらぱらっと斜め読みしているようではこのシリーズを十二分に堪能しているとは言えないんだろうな。2016/11/28