内容説明
自分が死んだら遺体の口に石を入れ、火葬後にそれを回収し、ある人物に届けて欲しい―。祖母の遺言を引き受けた高校生の木島耕平は、届け先で風変わりな老人・林に出会う。石コレクターである林は、耕平が作った「死人石」に喜ぶが、祖母のことは記憶にないという。林に興味を抱いた耕平と生物教師のナオミは、とある石の捜索を依頼した。同じ頃、三重県の山中で人体の一部が埋め込まれた“童石”が発掘され―。祖母の遺言の意味、林が石を集める理由など、奇妙な石をめぐる、時空を超えた物語の結末とは。2013年第11回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
著者等紹介
深津十一[フカツジュウイチ]
1963年生まれ。京都府出身。京都教育大学卒。『「童石」をめぐる奇妙な物語』で、第11回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みっちゃん
75
冒頭、工事現場から子供サイズの足が浮き出た岩が出現!次は「自分が死んだら口の中に石を入れ、火葬後に回収して」祖母の遺言を実行する高校生。かなりおどろおどろしいわ…と思ったら、石コレクターの富豪と「ロケットおっぱい」を装備した女教師が登場し、軽妙でユーモラスな石談義が続きます。すっかり油断した所に童石の正体が明らかになる「来歴」の章にがあん!とやられました。何と壮絶な!面白かった!「このミス」の本は私と相性が良いみたいです。2013/11/12
けい
66
石をめぐる人々の関わりあいを描いた作品。冒頭の主人公の不可解な行為に引き込まれ、石という存在を深く認識させられる。祖母の遺言により林という老人に出会う。林は不思議な石を集める事に執着し、主人公「耕平」は教師である「ナオミ」と伴に石の世界へ引き込まれる。三者がそれぞれの事情を持ちより、合わせたその先には遠い年月を経た人々の思いが・・・。読後感爽やかで面白かった。2013/07/20
BlueBerry
54
タイトルの「奇妙な物語」と言う通りちょっと変わったお話なので落とし所が読めなくてワクワクしながら読めました。ミステリー&ファンタジーとゆーことになるのかな。凄く面白いとか凄く感動するとかってわけではないけれど他に似た話がないのでとっても新鮮で目新しいからその点がかなりプラスポイントに繋がっていると思います。殺人がおきてトリックとか犯人探しとゆー感じのミステリーは最近はもう読む気がしなくなってきたのでこうゆー本は嬉しいですね。読メのレビューを見ていると意見が分かれるみたいだけれど私としてはお勧めです。2014/03/14
風里
53
最終キャラクターで誤魔化している感じがしなくもないが、後半になればなるほど引き込まれる。 タイトルからしてホラーっぽいものを想像していたけれども、奇妙ではあるがそこまでホラーでもなかった。 童石になった少年が可哀想。2013/08/25
まつじん
41
題名のとおり奇妙な進行で物語が進んでいきます。煙に巻かれたような気がしながらもページをめくる手が止まりません。出てくる謎がストンと気持ちよく解かれるのが心地よいです。なんでこっちが大賞でないのか不思議でなりませんね。2013/04/18