内容説明
つながっているのに寂しい、「常時接続の世界」を生き抜くために。哲学という「未知の大地」をめぐる冒険を、ここから始めよう。
目次
第1章 迷うためのフィールドガイド、あるいはゾンビ映画で死なない生き方
第2章 自分の頭で考えないための哲学―天才たちの問題解決を踏まえて考える力
第3章 常時接続で失われた〈孤独〉―スマホ時代の哲学
第4章 孤独と趣味のつくりかた―ネガティヴ・ケイパビリティがもたらす対話
第5章 ハイテンションと多忙で退屈を忘れようとする社会
第6章 快楽的なダルさの裂け目から見える退屈は、自分を変えるシグナル
著者等紹介
谷川嘉浩[タニガワヨシヒロ]
1990年生まれ。哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師。哲学者ではあるが、メディア論や社会学といった他分野の研究やデザインの実技教育に携わるだけでなく、企業との協働も度々行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
28
ネットの狂騒に呑み込まれて自分自身をなくしてしまう快楽、というのがあると思う。そこから一歩、いや半歩身を離しつつしかし自分だけの世界に閉じこもって孤立してしまうのでもなく、ネットの中で自分と世界のあいだに補助線を引き、世界としなやかに対峙すること。そんな難題に実にかろやかに挑んだ1冊として、ぼくはこの本を興味深く読んだ。いまを生きるポップカルチャーをふまえた実践的なアドバイスもたくさん載っており、したがって有効性は抜群と見る。この本を通して読み進めることがそのまま哲学の稀有なレッスンとなっているのがニクい2025/06/28
しゅー
11
★★★読んだことのない著者、さらに狙ったようなタイトルだったから、図書館本で済ませてしまった。しかし読み終わって「もし買っていても十分に満足だったな」と思った。哲学の入門書は、①やたらと「自分の頭で考える」を推して「何でもあり」に結論を持っていくタイプ②難解さを前面に出して著者を権威付けするタイプ③徹底的に現在の文脈に引き寄せてしまうタイプが多い。本書はメタな視点から哲学とは何かを読者に理解させた上で、現代的な問いに向き合う著者の思考を紹介してくれる。理論と実践のバランスが非常に良い入門書ではなかろうか。2025/06/25
Matoka
10
哲学の素養がゼロなので多分半分も理解できてないかも…ものすごく噛み砕いてわかりやすく書いてくれているのだろうけども。常時接続の世界における「注意の分散」や、スマホが増幅させる『寂しさ」に抵抗し、精神の自由を確保するにはとうすれば良いのかを考えた本。「何かを作る、何かを育てる」という趣味を持つこと、自己と対話しつつも自己完結とならないこと。うーむ、「哲学とはそもそも何なのか」から始めないとダメかもしれない。もっと色々読んだあとにまたこの本に戻ってきたい。2025/07/14
双海(ふたみ)
10
スマホは私たちの生活をどう変えてしまったのか?いつでもどこでもつながれる「常時接続の世界」で、私たちはどう生きるべきか?本書の射程は広い。ニーチェ、オルテガ、ハンナ・アーレント、パスカル、村上春樹、エヴァetc……哲学からメディア論、カルチャーまで。2025/05/07
はるき
10
常時接続って、常に不特定多数と手を繋ぎっぱなしってこと…。なんか、凄く、気味が悪いな。 今更スマホ以前の世界には戻れませんが、静かに自分と向き合う時間は必要ですね。2025/04/29