内容説明
原発事故から10年で何を学び、何が変わったのか。そして未来への提言。3.11後、独立した民間の立場から検証を行い話題を呼んだシンクタンクによる最後の報告書。
目次
序章 第二次民間事故調の課題:「いつものパターン」は許さない
第1章 安全規制―不確かさへのアプローチ
第2章 東京電力の政治学
第3章 放射線災害のリスク・コミュニケーション
第4章 官邸の危機管理体制
第5章 原子力緊急事態に対応するロジスティクス体制
第6章 ファーストリスポンダーと米軍の支援リスポンダー
第7章 原災復興フロンティア
終章 「この国の形」をつくる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラピスラズリ
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「小さな安心を優先して大きな安全を失う」「宿題型規制から効果型規制へ」など、問題点を的確に短い言葉で表現していて、非常に分かりやすかった。インタビューでの内容も取り繕った言葉ではなく、現場の人たちの「生の言葉」が書かれており、とても有意義な内容であった。東電が科学を軽視したことが事故の原因のひとつであったが、国民も科学を軽視して安心を求めたという点で、大きな責任があるのでないかと感じた。2025/04/10
もくのすけ
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この10年、事故の「近因」の除去は熱心でも「遠因」の克服には臆病。「遠因」は①「安全神話」の基礎となる「宿題型」規制②電力業界の「ムラと空気のガバナンス」③「国策民営」がもたらす責任の曖昧さと東電の企業文化の惰性④リスクコミュニケーションの欠如⑤世界と共に安全規制を構築する参画意識を欠いた「ガラパゴス化」心理⑥「究極の問いかけ」に正面から向き合うことを忌避する「国民安全保障国家」の未熟さ◆「遠因」が克服できない理由①見える事故(電源喪失等)には細々と対処するが見えない事故(サイバー攻撃等)への想像力の欠如2021/06/02