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目次
第1章 日本人論の核心「集団主義」
第2章 日本人論の危うい足元
第3章 「個人主義的な」アメリカ人と比べてみると
第4章 日本経済は集団主義的か?
第5章 日本人論の言説を検証する
第6章 なぜ「集団主義的な日本人」は常識になったのか?
第7章 なぜ通説は揺るがないのか?
第8章 文化ステレオタイプ
第9章 文化ステレオタイプの罠
著者等紹介
〓野陽太郎[タカノヨウタロウ]
東京大学名誉教授。専門は認知科学(認知心理学・社会心理学)。1950年東京都生まれ。コーネル大学心理学部で博士号を取得。ヴァージニア大学専任講師、早稲田大学専任講師、東京大学文学部助教授、東京大学人文社会系研究科教授を経て、現在、明治大学サービス創新研究所客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
65
「日本人は集団主義的だ」という文化ステレオタイプの誤りを科学的に証明し、先入観と確証バイアスにより我々日本人自身もそう思い込んでいた事を明らかにする。「菊と刀」「甘えの構造」など古典的書籍も根拠となる言語相対性仮説共々批評している。世界中で起こる紛争や民族対立による虐殺の背景には、誤った文化ステレオタイプと偏見による対応バイアスが与える影響が大きいと考えられる。現世人類が同じ祖先を持つサピエンス族だと考え、このような思い込みに陥りやすいという危険性を認識することが人類にとっての喫緊の課題と警鐘を鳴らす。2019/12/10
おさむ
34
日本人は集団主義。アメリカ人は個人主義。もはや人口に膾炙しているこんな通説が誤りであることをデータを基に喝破する。こうした通説が広まったのは、ルース・ベネディクトの「菊と刀」やジェイムズ・アベグレンの「日本の経営」といった米国人の著書が売れたため。確証バイアスや対応バイアスがそれに拍車をかけた。こうした文化ステレオタイプは、単純で覚えやすいが、逆に危険でもある。ルワンダの大虐殺はこれが遠因だった。世間にある常識を疑うこと。簡便ながら、リテラシーの大切さを教えてくれる新書でした。2019/12/27
ソフィア
10
私は集団主義的な日本よりも、個人的な西洋の方が性格的に合うのではないかと思って、留学や海外赴任を志したクチだ。しかし、本書によると調査において「日本は集団主義だが自分は個人主義」という回答をする日本人のほうが多いらしい。なんと、自分と違う価値観を持つと考えていたのに、みんな同じような考えを持っていたのだ。本書が警鐘を鳴らすのは、ステレオタイプが経済や紛争などの社会問題にも発展する可能性を孕んでいることだ。私達は、文化面からのイメージで他者を判断してはならないと肝に銘じるべきだ。2024/04/04
oooともろー
6
日本人は集団主義的で、アメリカ人は個人主義的。このような文化ステレオタイプは全く根拠が無いことを実証的に証明。人間はその場の状況に大きく影響される。ステレオタイプの危険性。陥らないようにしたい。2020/03/19
yurari
4
日本人は集団主義、アメリカ人は個人主義、というステレオタイプは、体験談や伝聞が事例となっており、実証的な研究が行われた訳では無い。確証バイアスのせいで思考が偏るのは良くないな〜と思いつつ、人間の思考のクセだからどうしようもない部分もある。2023/07/10