出版社内容情報
本書は、ドイツ人社会学者ニクラス・ルーマンの社会システム理論に依拠し、学校、家族、教育学など、教育という現象に関わる様々なシステム間関係の解明を試みるものである。中心となるのは、道徳、学級、学習、能力や学力、教育のグローバル化、政治システムと学校教育の関係、予期に基づく自己調整、家族、権利と責任、教育学と教育実践の関係性などである。さらに本書の冒頭では彼の理論の全体像も紹介され、ルーマンの社会システム理論に必ずしも詳しくない読者にとって、入門書としての役割も果たしうるだろう。
【目次】
序 章 社会システム理論から見た世界と教育─先行研究の検討と本書の課題
第1章 集団内秩序の形成・維持と道徳の機能
第2章 学級における相互秩序の形成過程とその社会的機能
第3章 システム間の再帰的営みとしての学習
第4章 グローバル化した世界における「能力」や「学力」
第5章 政治システム・学問(科学)システムと教育システムの交差領域としての学校
第6章 社会変容の中の「子ども像」や「母親像」と自己調整
第7章 社会内諸問題の「万能の解決者」としての「家族」
第8章 「権利」と「責任」の社会的要請と社会的構成
第9章 教育に関する観察の多元性と観察システムとしての教育学の二重性
終 章 世界と教育を動態として捉える