出版社内容情報
「このように、タラ漁業とそれに付随した干しダラ輸出業は、当時のニューイングランド経済最大の富の源となっていたのである」(本文序章より抜粋)
本書は、植民地期ニューイングランドの基幹産業だったタラ漁業と干しダラ輸出業に着目し、同植民地の経済発展及びイギリス本国からの経済的自立化、そして独立戦争へ至るプロセスについて考察したものである。ケーススタディとして、当該期のニューイングランドを代表するタラ漁業・タラ交易都市マーブルヘッド(マサチューセッツ植民地)を取り上げ、同都市のタラ商人が遺した書簡史料を手がかりとしながら、環大西洋史とマーブルヘッド地域社会史が織りなしたグローカル・ヒストリーを描き出す。
内容説明
マサチューセッツ植民地北部の漁港マーブルヘッドで台頭した新興のタラ商人たちは、同地を繁栄へと導いた。他方で、彼らが構築した環大西洋的な連関は、イギリス帝国内部に軋轢を生み出し、独立戦争への道が用意されることとなった。タラ商人が織りなした初期アメリカ史。
目次
第1部 18世紀ニューイングランド漁業の環大西洋的な経済発展プロセス(下請け・孫請け部門としてのマーブルヘッド漁業;18世紀前半におけるマーブルヘッド漁業の経済発展プロセス;17世紀型サプライチェーン崩壊とボストン商人による密貿易の開拓)
第2部 18世紀ニューイングランド漁業によるイギリス本国からの経済的自立化(マーブルヘッド漁業の経済的自立化;地域社会のリーダーとして―マーブルヘッド・ジェントリの形成―)
第3部 ニューイングランド漁業の環大西洋交易網とイギリス重商主義体制との衝突(砂糖法の成立―西インド諸島派との対立―;規制法の成立―イングランド西部地方商人との対立―;イギリス海軍への反発―イギリス海軍の強制徴募を中心に―)
著者等紹介
藤井太郎[フジイタロウ]
熊本県八代市出身。1996年生まれ。熊本大学卒業後、同大学大学院社会文化科学教育部にて修士号(文学)、博士号(文学)を取得。熊本大学(2024年度及び2025年度)及び熊本学園大学(2024年度)にて非常勤講師として勤務。専門は、初期アメリカ史、環大西洋史、漁業史、海事史、社会経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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