出版社内容情報
ユネスコの世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」には、九州北西部の島々が多数含まれている。これらの島々には長い間、「二つのキリスト教」が存在してきた。その島の一つが、長い歴史の中で世界と直接繋がり、日本史の表舞台にもたびたび登場してきた長崎県の平戸島である。
平戸島とその周辺地域には、在来の神道や仏教の諸宗派はもちろんのこと、かつての潜伏キリシタン、カトリック教会、修験道の山伏、琵琶法師の一流派、新興宗教系のシャーマンなど、実に魅力的で多種多様な宗教的要素が今日まで複雑に同居してきた。
本書では、この平戸地域の内外を俯瞰しながら、他方では個々の集落や人々にも着目し、一見すると極めて混沌とした、時に驚嘆せざるを得ないような宗教の在り方を地理学の立場から照らし出す。さらに、日本宗教の濃密な縮図とも言うべき平戸地域において、歴史の中で積み重なり、混じり合い、棲み分けてきた多彩な宗教の姿を、現在の集落と人々の営みから学ぶことを通じて、生活者の次元における日本宗教一般の理解を目指す。
本書は、著者の10年以上にわたるフィールドワークに基づくものであり、平戸城下町の成り立ちや海域世界における島嶼性など、様々な方面における示唆を含んでいる。
内容説明
多様な信仰のかたちを地理学から解きほぐす。世界遺産登録で脚光を浴びる島々。神道や仏教、民俗宗教と「2つのキリスト教」が並存してきた多彩な信仰の在り方を、集落と人々の営みから照らし出す。
目次
序論
第1章 日本農村のキリシタン・カトリック・民俗宗教
第2章 平戸におけるキリスト教の分布と伝播
第3章 宗教分布と集落空間構成の地形的条件
第4章 集落空間の内部構成と宗教景観要素
第5章 キリシタン信仰組織の編成原理と空間構造
第6章 民俗的境界の領域性と社会地理的条件
第7章 農山漁村の宗教多元性と日本宗教の構造
結論
著者等紹介
今里悟之[イマザトサトシ]
1970年大阪府生まれ。2022年名古屋大学環境学研究科教授。専門分野、人文地理学、農山漁村研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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