出版社内容情報
明治期、日本において教育思想・教育論としてのドイツの教育学は注目されてきたが、アカデミックな学問としての教育科学の実態はあまり知られていない。さらに第二次世界大戦、ドイツは東西へと分割されたが、主に紹介されるのは西ドイツの教育学のみであり、東側の動きは部分的にしか伝えられてこなかった。
本書では約280名の教育学者に焦点があてられ、教育学の発展過程が解明されるとともに、その過程が分断後の東西ドイツ双方でどのように進行したのか、そして教育学者たちのナチズムへの関与が戦後、それぞれの国でどのように扱われたのか、明らかにされる。
内容説明
教育学者たちのキャリアや博士論文等から学問としての発展過程を探る。ドイツ教育学の発展は激動の20世紀ドイツ史と重なる。ヴァイマル時代、ナチス・ドイツ、東西ドイツ期を教育学者たちはいかに生きたのか。史料の数量的な分析に基づく実証研究の成果。
目次
第1章 導入(日本の読者に向けた解説:教授の職階について;日本の読者に向けた解説:教育学と教育科学の区別について)
第2章 ヴァイマル共和国およびナチス政権期の研究大学における教育科学:1919年から1945年(大学所在地ごとの全体像;体系的分析)
第3章 ソヴィエト占領地域とドイツ民主共和国の研究大学における教育科学:1945年から1965年(大学所在地ごとの全体像;体系的分析)
第4章 西側占領地域とドイツ連邦共和国の研究大学における教育科学:1945年から1965年(大学所在地ごとの全体像;体系的分析)
第5章 教育科学の20世紀における制度化と地位向上、細分化と自律化
著者等紹介
ホルン,クラウス=ペーター[ホルン,クラウスペーター] [Horn,Klaus‐Peter]
ドイツ・ゲッティンゲン大学教授(一般的教育学・教育史学)。フランクフルト大学にて博士号を取得した後、ベルリン・フンボルト大学にて教授資格審査通過。ベルリン・フンボルト大学にて助手や私講師などを務めた後、2004年にテュービンゲン大学教授となり、2011年より現職。2008年度の後期には日本学術振興会外国人招へい研究者として東京学芸大学に滞在。ナチズム期の教育学(教育科学)に関する著作や、ドイツにおける教育学(教育科学)の発展過程に関する論文・書籍を数多く出版
鈴木篤[スズキアツシ]
九州大学大学院人間環境学研究院准教授(教育動態論)。博士(教育学)(広島大学)。大阪大学人間科学部卒業、広島大学大学院教育学研究科修了。兵庫教育大学教員養成スタンダード開発室、大分大学教育福祉科学部・教育学部での勤務を経て現職。ドイツ教育学、S.ベルンフェルトやN.ルーマンの理論を基盤に、学校教育や教育実践、教育学史の研究に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。