出版社内容情報
いびきをする人は非常に多くいますが、この中に、呼吸が止まる、「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)」の人も多く混じっています。睡眠時無呼吸があると、睡眠が分断され、数百回に及ぶ覚醒が生じて、寝ても寝ても疲れる、昼間眠くて仕方ない、集中力がない、などの症状が生じます。SASには、こうした、不眠と眠気という側面があり、これに対してしっかり治療を行う必要がある一方、繰り返し生じる低酸素状態、覚醒時に起こる交感神経の活性化などを通じて心臓や血管系に悪影響があることがわかってきました。しかしながら、数多くの研究の結果、全ての睡眠時無呼吸症候群が、身体、特に循環器疾患に悪さをするわけではないこともわかってきました。本書は、夜中に息が止まっている方々に、SASが眠気以外に体に与える影響を正しく知っていただき、正しく恐れ、正しい治療にたどり着いていただきたいという思いで書いたものです(著者より)。
内容説明
大きないびきが突然止まる…、それって寿命を縮めるの?いびきがうるさいと注意を受けている人、たくさん寝ていても眠気に悩まされている人、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではありませんか?心臓病の専門医が心臓・血管病とSASの関係や治療法を分かりやすく解説します。
目次
第1章 どうして夜中に息が止まるのか?(サルが人になったために生まれた夜中の弱点?;痩せていても無呼吸を起こす?;いびきもなしに息が止まる?)
第2章 睡眠障害ってどんな病気?(呼吸が止まらない睡眠時無呼吸?;SASの重症度はどうやって数える?;正常な睡眠と睡眠時無呼吸症候群患者さんの睡眠は何が違う?;いびきをして眠ければ、みんな睡眠時無呼吸症候群?)
第3章 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心臓・血管の病気と関係があるの?(低酸素で自律神経異常?;循環器・内科領域の病気と睡眠時無呼吸症候群;高血圧;不整脈;冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
突然死
心不全
糖尿病)
第4章 SASの見つけ方と治療法(隣の方の顔つきは?;病院での検査;治療の目的;CPAP;マウスピース治療;そのほかのこれまでの治療法;これからの治療法)
第5章 循環器内科医から見たSAS診療のこれから
著者等紹介
安藤眞一[アンドウシンイチ]
1956年生まれ。福岡県立筑紫丘高校卒業。一橋大学経済学部に入学するも医学の道を志し、1986年九州大学医学部卒業。同年九州大学循環器内科に入局。医学博士取得後1994年からカナダ、トロント大学に留学し、ジョン・S・フローラス教授の下で睡眠時無呼吸症候群の循環器疾患に与える影響について研究。帰国後、九州大学循環器内科を経て1998年に福岡県済生会二日市病院循環器科部長に就任し、循環器疾患の救急医療を行うとともに、睡眠時無呼吸症候群の診療も開始。その後、副院長を経て、2011年に九州大学病院睡眠時無呼吸センター長・特任教授に就任し、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害の診療や研究に従事。2022年から現職の福岡県済生会二日市病院に睡眠医療センターを創設し、そのセンター長として睡眠時無呼吸だけでなく、広く腫眠障害の診療を行っている。この間、2010年に日本循環器学会発行の循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン作成、および上記ガイドラインの2023年の改訂版作成に班員として参加した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。