出版社内容情報
中世インドの思想家たちによる自由闊達な議論はインド思想の発展を促した。本書は、インドの知的伝統のダイナミズムを議論学の側面から考察する。主資料として9~10世紀にカシミールで活躍したニヤーヤ学派の学匠バッタジャヤンタによる哲学巨編『ニヤーヤマンジャリー(論理の花房)』を取り上げ、未だ翻訳研究すら存在しない「議論学章」について、原典写本を用いて解明。仏教などのインド哲学諸派の見解を踏まえて、議論形態や論証の誤謬、討論術等のインド議論学・論理学上の諸概念に関する分析を行う。
内容説明
議論の上に開花する思想。未解読文献『論理の花房』「議論学章」を繙き、仏教などのインド哲学諸派の見解を踏まえて、インド議論学史の一端を解明する。
目次
第1部 序論(バッタジャヤンタ著『ニヤーヤマンジャリー』概説;先行研究概観;本書の位置付け)
第2部 思想史研究(『ニヤーヤマンジャリー』における議論学の位置付け;3種の議論形態:論議・論諍・論詰;疑似的理由の構造;第六の疑似的理由とは何か;レトリックと論証;詭弁的論駁論の諸相;議論における勝敗規定)
著者等紹介
須藤龍真[スドウリュウシン]
2015年九州大学文学部卒業。2017年日本学術振興会特別研究員(DC1)。2020年九州大学大学院人文科学府博士後期課程修了、博士(文学)。2020年より現在、日本学術振興会特別研究員(PD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。