出版社内容情報
冤罪はなぜ起こるのか。
刑事訴訟法は明文で、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪判決において「刑の言渡し」ができ(刑訴法333条)、「犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡しをしなければならない」(刑訴法336条)と規定する。しかし日本の刑事裁判実務では、裁判官の「自由心証主義」が過度に重視され、現行法上の有罪判決の前提である「犯罪の証明」が軽視されてきた。その結果、「裁判官の自由な判断」により誤った有罪判決を生み出す「暗黒裁判」が後を絶たない。
本書では、70数年に及ぶ現行憲法・刑事訴訟法の下で、絶えることなく続発する誤判事件の実態について、最初期から現代にいたる膨大な誤判例の中から23件の裁判を分析することで、誤判の決定的な原因を探った。そこには、別件逮捕を用いた自白獲得や共謀共同正犯の承認、情況証拠のみに基づく事実認定、捜査段階の調書への全面依拠、客観性を欠く供述証拠の「真偽」の判断等、憲法が保障する被疑者・被告人の人権を無視した実務の実態があった。本書はとくに論理的可能性と実在的可能性の違いに着目し、主観的・情緒的な「心証形成」を制約する、客観的・理性的な「証明」の論理を示すことによって、裁判官が誤判を犯す原因を明らかにし、冤罪を防止するための方策を提言する。
内容説明
刑事訴訟法は、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪判決において「刑の言渡し」ができ、「犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡しをしなければならない」と規定する。しかし日本の刑事裁判実務では「自由心証主義」が過度に重視され、現行法上の有罪判決の前提である「犯罪の証明」が軽視されてきた。その結果、「裁判官の自由な判断」により誤った有罪判決を生み出す「暗黒裁判」が後を絶たない。本書では、23件の裁判を分析することで、人権を無視した裁判実務の実態や裁判官が誤判を犯す原因を明らかにし、冤罪の防止策を提言する。
目次
プロローグ 松橋事件が教えるもの
1.0. 暗黒裁判の原点
2.0. 死刑再審事件の明暗
3.0. 暗黒裁判を基礎づけた最高裁・田中コート
4.0. 暗黒裁判は収束していない―今も続いている調書裁判
エピローグ 恵庭殺人事件―再審無罪判決を求める
著者等紹介
吉弘光男[ヨシヒロミツオ]
九州大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学(1988年)/久留米大学法学部教授
宗岡嗣郎[ムネオカシロウ]
九州大学大学院法学研究科博士後期課程修了(1984年)/久留米大学法学部特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あられ
cinnamon