内容説明
明治社会において、監獄は自らをどのように位置づけていったのか。近代化をめざした明治政府は、新しい国家体制や刑事法制などの整備を行う中で、多くの犯罪者を生み出すこととなった。そうした人びとを収容し、社会防衛と再社会化を図る監獄は、いかにして自らをかたち作り、受刑者の処遇を行ったのか。社会との相互作用に注目し、監獄行政の専門知形成と自立化の過程を描くとともに、それに立ち会った宗教への影響も分析する。
目次
問題の設定と視角
第1部 明治期監獄行政機構の形成過程(外役から内役へ―北海道集治監での監獄作業および処遇方針の変容とその歴史的位置づけ;明治中期における監獄費国庫支弁問題とゆるやかな制度変化;明治二〇年前後における監獄改良―監獄行政の営為とドイツ監獄学の受容;巣鴨監獄の誕生―ある公共建築事業を政治史として)
第2部 監獄行政機構の確立と宗教(内務省と仏教教誨師―教誨制度における協調関係の実態;内務省の教誨政策と北海道集治監キリスト教教誨師;一九世紀末における監獄改良のグローバルネットワーク―小河滋次郎、留岡幸助の人脈形成;「監獄教誨」制度の確立と巣鴨監獄教誨師事件)
監獄行政機構の自立とその意義
著者等紹介
赤司友徳[アカシトモノリ]
1977年、福岡県に生まれる。2000年、北九州大学外国語学部中退。2004年、九州大学文学部人文学科卒業。2015年、九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位取得退学。途中、ルール大学ボーフム東アジア研究学部客員研究員、ルーヴェン・カトリック大学文学部客員研究員などを経て、現在、九州大学大学院医学研究院学術研究員(九州大学医学歴史館学芸員)、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。