出版社内容情報
博物学者・小説家、そして妖怪研究家として知られる荒俣宏が、妖怪研究の集大成として、最新の解釈をこの一冊に凝縮。妖怪マニアにはよく知られる雑誌『妖怪大百科』の人気連載「妖怪共生講座」を、大幅に加筆・修正した本書は、妖怪マニアなら絶対に読んでおくべき一冊。
内容説明
「妖怪共生講座」で学び、「妖怪分類コレクション」で妖怪のルーツをつかむ!アラマタ妖怪研究の集大成!!
目次
第1部 妖怪共生講座(妖怪は見えない;妖怪は食える ほか)
第2部 妖怪分類コレクション―マレビト、人怪、自然、中国、日本(マレビト;人怪 ほか)
第3部 妖怪分類コレクション―付喪神、本草、心理(付喪神;本草 ほか)
第4部 妖怪史雑録(平田篤胤;本所周辺お化け巡り ほか)
著者等紹介
荒俣宏[アラマタヒロシ]
1947年東京都生まれ。博物学者、小説家、翻訳家、妖怪研究家、タレント。慶應義塾大学法学部卒業。大学卒業後は日魯漁業に入社し、コンピュータ・プログラマーとして働きながら、団精二のペンネームで英米の怪奇幻想文学の翻訳・評論活動を始める。80年代に入り、『月刊小説王』(角川書店)で連載した持てるオカルトの叡智を結集した初の小説『帝都物語』が350万部を超え、映画化もされる大ベストセラーとなった。博物学、図像学関係の本も含めて著書、共著、訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
G-dark
35
鬼、人魚、龍、麒麟といった古今東西の不思議な存在を紹介する本。わたしは特に「妖怪は食える」という章に驚かされました!雷獣を煮て食べたり、龍を塩漬けにして食べたり、人魚を干物にして食べたり…。不老不死や精力剤としての効果を狙ったようですが、己の欲望のために妖怪さえも喰らう人間の欲深さが恐ろしいです。また、この本は妖怪と人間の「異類婚姻譚」にも触れています。明らかに姿形の違うもの同士で惹かれ合うのは何故なのか、とても興味を引かれます。不老不死を追い求める人間の気持ちも、恋する気持ちも、不思議なものですね。2020/05/27
テツ
23
一体の妖怪には膨大な量のバックボーンが存在する。例えば鬼。河童。天狗。日本人なら誰でも姿を思い浮かべることができるであろう彼らにしてもその姿が創り上げられるに至った背景を一言で説明することなんてできない。(当時の)風俗風習、風刺、隠喩、暗喩からアニミズム的な世界観で人間が垣間見た自然の姿とそこから生まれた畏れや憧れ。妖怪にはそうしたものが全て詰まっている。古代人の無知蒙昧から生まれた存在ではなく実は極めて文化的で洗練されたモノなんだよな。大人になっても妖怪の本を読んでいると心が踊ります。2020/03/12
そうたそ
18
★★★☆☆ 単なる妖怪紹介だけでなく、様々な面から妖怪を掘り下げてくれる一冊。写真も豊富で視覚的にも満足のいく内容だった。妖怪ファンならば家に一冊は置いておきたい本ではなかろうか。2020/01/20
花乃雪音
14
日本で語り継がれている妖怪を「マレビト」「人怪」「自然」「中国」「日本」「付喪神」「心理」「本草」と区分し各々における代表的な妖怪を容姿や特徴、生まれた背景などを紹介しちる。西洋についても語られているが「マレビト」としてのクリスマスやハロウィン、「人怪」としての人魚など区分における説明を補足するためのものだった。タイトルにある「妖怪にされちゃった」のされた経緯が本書の肝であろう。2019/11/17
アイロニカ
7
新聞で鬼に関するコラムを読んだ勢いで積んでた本を一気読み。『鬼の研究』も機会を見て読んでみたいと思う。ナマハゲなどの“来訪神”は神と言うより鬼のようなバケモノに近いという指摘から、遠くからやってくる自然の恐ろしさへと繋がるイメージは実に興味深い。西洋的な考え方ではバケモノの正体は異民族という印象が強いかもしれないが、マレビトが実は人ではなく自然の災い(豊作にも繋がる)というのは島国の風土に根差した文化と言えるだろう。科学者だった寺田寅彦が自然現象としての妖怪に強い関心を持っていたという事実も面白い。2020/03/09