内容説明
転換期にある日本の農業は、ポスト・コロナ時代にどうなる?作って農協に卸すだけの従前のシステムが大きく揺らぎ、生産・収穫の現場から流通・販売に至るまで、徹底的にデータを取り、活用する「データ農業」の時代が到来する。作物そのものの「生体データ」、成長に影響する温度、光、土質などの「環境データ」、それらを統合・管理する「管理データ」。オランダから北海道まで、それぞれの先鋭的な取り組みを取り上げ、日本農業の未来を探る。
目次
第1章 データが農業をつくる時代
第2章 進化する植物との対話
第3章 農業から食産業へ
第4章 下町ロケットは現実になるのか
第5章 データのやり取りは世界標準の通信規格で
第6章 ガラパゴス品種が世界で強みを発揮する
著者等紹介
窪田新之助[クボタシンノスケ]
農業ジャーナリスト。1978年、福岡県生まれ。明治大学文学部卒。2004年、日本農業新聞に入社。外勤記者として国内外で農政や農業生産の現場を取材。2012年よりフリーに。NPO法人ロボットビジネス支援機構のアドバイザーを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さきん
25
今までデータを取る要素が多すぎて、分析も困難だった農業へのデータ活用の効用が表れ始めている。データの活用にはデータの要素をピックアップし、データを収集し、これを整理整頓して、分析し、判断を下す一連の作業が必要で、それにともなう人材、コストが足りていなかったが、技術革新や人材の流入が大きくおきていることを体感させてくれる内容だった。特に良い試みだと思ったのは、土の肥沃度を担保に融資を受けるサービス。何回も読み直して、自分の思考も整理していきたい。2020/08/22
ろべると
11
冒頭でオランダの温室トマト栽培の生産性の高さと輸出額の多さに驚いた。日本では考えられない背の高い温室で日照を確保するとともに、精緻なデータによる管理が徹底されている。それに比べると、取り上げられる大学の研究を中心とした日本の試みはどうもインパクトに欠ける気がする。オランダのような、常識を打破して徹底する凄みが感じられないのだ。北海道を除くと日本の農地は小規模なので、それに合った施策がどうしても小粒になるためか。制約に囚われずに農業を改革する道が開けなければ、研究者の自画自賛で終わってしまうことを恐れる。2023/08/22
Satoshi
9
◎埼玉にイチゴを栽培して栽培指導までやってハウス建設も手がける企業があるとは知らなかった。しかも誠和さんよりオランダに早くから目をつけていたなんて。作物の生育データと環境データ、収益性を結びつけて考えられれば良さそう。衛生画像からの土地の色で可変施肥をするとか本当にすごい。2020/08/25
乱読家 護る会支持!
8
単位面積当たりの収穫量で世界に遅れを取っている日本。その原因は、味の良さにこだわった事もあるが、さまざまな科学的データに基づく「データ農業」の遅れもある。 農家の経験と勘に頼ってきた従来の農業では世界には勝てない。 作物そのものの「生体データ」、成長に影響する温度、光、土質などの「環境データ」、それらを統合・管理する「管理データ」。 これらのデータを活用した「データ農業」について考える本。2021/01/07
は
7
窪田新之助さんの「データ農業が日本を救う」を読み終えました。データ農業では、気象や土壌、気温、日射量に留まらずさらに多様なデータをAIでとって分析することで、農作業のコストを下げ、品質の向上を目指します。海外では、普及がかなり進んでいて、自分は日本でも早く普及できるように取り組んで行きたいと考えていますが、機械の開発や法整備、導入にかかる費用など個人では実現するのが難しいと感じました。この本では、データ農業のメリット、日本の現状、取り組みの実例などが紹介されていて、大変勉強になりました。2021/02/02