内容説明
「一億総表現者時代」と言われる現代。SNSには大量の日本語があふれ、そこには“センス”を感じさせる言葉も多い。このセンスある言葉たちの底には紫式部、夏目漱石、樋口一葉ら一流の日本語力が眠っている…そう、あくまでも眠っているのだ。身についているはずの日本語力を目覚めさせ、あなたの未来を切り開く極意がここにある。
目次
第1章 日本語を失いつつある日本人へ
第2章 大和言葉と漢字の出会い
第3章 世界一“フレキシブル”な言葉
第4章 明治時代のビッグバン
第5章 先人たちの遺した道標をたどる
第6章 未来を切り開く日本語力
著者等紹介
齋藤孝[サイトウタカシ]
教育学者。1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かずぼん
9
日本語力とは何か、それは古典の中に染み渡っている伝統である。齋藤氏はそれを文語文で読みこなすことを勧める。明治の人たちは、それまでの漢文素読の素養があり、文章も美しいという。時代は平家物語から明治の福澤諭吉、樋口一葉など多岐にわたる。それを声に出して読むことで日本語の響きやリズムを染み込ませるのである。ちょうど朗読に関する本を読んでいて、そこに樋口一葉の文章が取り上げられていて、まさに内容がシンクロした。多様な本を読むことでそれらがシンクロしている感覚を持てることが読書の醍醐味でもある。2020/07/28
tamami
9
高校生、大学生などの若者に向けて、日本語の歴史を辿る中で、折々の古典や文豪たちの文章に触れ、その持つ素晴らしさや日本語力の奥深さとともに、日本語を学び伝えていくことの大切さを訴えている。提示される古典や文豪たちの文章には、人を引きつける大きな力があることを実感させてくれる。それにしても、将来の日本語を担うであろう若者に対する、現代の日本語教育の迷走ぶりはどうしたというのだろう。文化の根幹が変質するやもしれない事態に、我々ももっと敏感でなくてはならないと強く思う。2020/02/18
coldsurgeon
6
読書をすればするほどに、日本語力が上がるかと言えば、そこに工夫を加えないと、望めない気がする。その工夫を知りたいと思い、読む。知りたいと思う心が世界を広げるが、得た知識を、どのように表出するかが課題である。思えば、日本語を生み育てた古人達の努力は、すさまじいものである。2020/05/02
kent6201
5
日本語力がこれからを生きる鍵だ。 温故知新の哲学で古文、名文に触れ、改めて日本語の素晴らしさに出会う。 教養、語彙の豊富さが新たな発想を生む。 名文引用で表現に深さを出していこう。 2020/04/27
sho watabe
5
独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るる者は必ず人に諛うものなり 本書に出てくる学問のすゝめの一文。 グサッときますね。 思い当たる人もいますし、もちろん自分にも十分思い当たる節がある。 人に怒ってしまう時は往々にして人に依存している。 それが裏切られたときに怒りの感情が生じる。 しかもその根っこには人によく見られたいとか、上司の印象をよくしたいなど諛いの気持ちがある。 そんな自分が嫌になるが、これを克服するには独立しかない!2020/03/13