内容説明
「地球生命の起源は深海の熱水噴出孔にある」ことを実証すべく、水深2000メートルの深海で生物探査を行う微生物学者の高井研。国際宇宙ステーションで行われている生命実験「たんぽぽ計画」の代表を務める分子生物学者の山岸明彦は、「生命は陸上の温泉で生まれた」と考える。まったく異なる説を唱える二人が、生命の起源や進化の謎、地球外生命探査について激しく論じ合い、生命の本質を明らかにする。
目次
はじめに―生命の起源を研究することの不可思議な魅力
第1章 生物の共通祖先に「第3の説」!
第2章 生命はまだ定義されていない!
第3章 生命に進化は必要か?
第4章 生命の材料は宇宙からやってきた
第5章 RNAワールドはあった?なかった?
第6章 地球外生命は存在する!ではどこに?
第7章 アストロバイオロジーの未来
著者等紹介
山岸明彦[ヤマギシアキヒコ]
分子生物学者、東京薬科大学名誉教授。1953年、福井県生まれ。81年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。2015年から国際宇宙ステーションで行われている「たんぽぽ計画」の代表を務める
高井研[タカイケン]
微生物学者、海洋研究開発機構(JAMSTEC)深海・地殻内生物圏研究分野分野長。1969年、京都府生まれ。97年、京都大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。専門は極限環境微生物・生命の起源・宇宙生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイジ
14
太古の地球で最初の生命は深海熱水噴出孔の近くで発生したのか、それとも陸上の温泉で発生したのか、を軸に生命や宇宙について広く解説されます。知らなかった事ばかりで非常に興味深く読みました。2020/08/12
tetsu
14
★3 生命の起源は驚くほど分かっていないことを知ることができた。分子生物学が解明した生命の緻密さは、その断片さえつかみきれていない。 初めから完成形があって、細胞内の核に、いろいろなパターンのDNAを入れ込んで惑星上でシミュレーションした結果、現在の地球の生命ができた、というような話の方が説得力がある。太陽の巨大化で地球が滅びる前に宇宙に向け種を撒く。自らの代謝でテラフォーミングしながら進化するDNAを持った種がうまく花開いたのが第二の地球になり、そこで進化した第二の人類が自らの起源を考察する、なんてね。2020/02/09
Honey
10
微生物学者の高井研さんと分子生物学者の山岸明彦さんの熱い対談♪読者に分かりやすいよう、専門用語が出てくると、すかさず説明も入れてくださっていて、門外漢に難解で厳密な部分も、それなりに読み進められるよう工夫がされていて有難い。今確実なことを土台に、両者の視点の違いからくる仮説の違いを互いに尊重しつつ、議論は深まる。これからはアストロバイオロジーの時代といいつつ、地球上の生命から宇宙における生命までも、すべて包括する「生物学」を目指す、大きな課題に取り組む皆さま、とても素晴らしい! 成果が楽しみです♪2021/02/17
5〇5
10
あらまあ、これはお二方の対論形式なのね。根本の考え方が違ってるのでかみ合わないのよねぇ。右と言えば左、ああ言えばこう言うで、論争が楽しめるわよ。その一端を、激論バージョン(広島弁)で紹介してみるわね。↓2020/12/25
ちゃんぐ
8
途中で挫折した「生命の起源はどこまでわかったか」よりは読み易かった。途中で何回かバトルがあるのは「対論」と銘打ったタイトルのお約束なのですかね。生命誕生の起源を宇宙に求めるのはそれなりの根拠があるのだな、というのは収穫でしたが、自分が生きている間には生命の謎(無機物から生命の誕生)の解明は叶いそうもない、というのが分かりました。2021/07/22