内容説明
樋口一葉と与謝野晶子、明治という近代化の夜明けに、家や古い因習とたたかい大輪の花を咲かせたふたり。この女流作家と歌人は似ているようでまったく異なる。ふたりは幸せだったろうか?二十四歳の若さで死んだ一葉の人生。六十四歳まで生きた晶子の生涯。時代をこえて共通する幸福とは?一葉と晶子から学ぶそれぞれの幸せのかたち。
目次
歯ぎしりとおねしょ
樋口一葉(一葉のルーツ;桃水の汁粉;甲州商人と一葉;一葉のつむじ;霜柱はくずれたら立てなおすだけ)
与謝野晶子(星の子鉄幹;狂いの子;火のいろ雛罌栗;山の動く日きたる;懺悔)
著者等紹介
内田聖子[ウチダセイコ]
1943年福島県原町市出身。現在早稲田大学を卒業後、子どもの言語教育活動に従事するが50歳を目前に小説家デビュー。著書に『駆けろ鉄兵・田鶴記』(農民文学賞)オリジン出版、『紫蘇むらさきの』(長塚節文学賞)茨城県教育委員会、『雀百まで悪女に候』(ノンフィクション大賞)健友館等。日本ペンクラブ会員。日本農民文学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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葉菜枝
1
与謝野晶子のパワフルな人生に圧倒された。与謝野鉄幹・・・名前しか知らなかったけれど、かなり破天荒かつ「だめんず(?)」な所、随所随所、読んでいて唖然とした。樋口一葉については、一葉を取り巻く抜き差しならない環境(萩の舎の世界と小説を書くことの厳しさ、貧しさという現実)の中でいかなる時でもへこたれない一葉の内に秘めた強さ、賢さが読んでいて痛快だった。作者も書いているとおり、2人に共通するのは「与えられた人生を精一杯、生きる(生きた)」こと。それがほんとうの幸福であり、幸福の形も様々なのだなと思った。2012/05/31