内容説明
戦争で夫を失い、遺された子までも流産した彼女は、絶望に打ちひしがれながら婚家を去る。そんな彼女を慰めたのは、幻とも思える満開の枝垂れ桜であった…（「夢桜」より）。樹齢六〇年を越えた枝垂れ桜の巨木を眺めながら、老女が自らの過去を回想する表題作他、「桜」をモチーフに、戦争や差別によって心に傷を負いながら生きる人々の哀しみを綴った全七作品を収録。切々と悲劇を描きながら、確かな希望の伝わる秀作短編集。
著者等紹介
岸本修［キシモトオサム］
１９４９年生まれ、高知県出身。地方公務員（宝塚市職員）。１９６９年、西宮東高校を卒業後、宝塚市役所に就職。その後、労働運動、原水爆禁止運動等の平和運動、社会福祉法人設立と保育園建設をめざす市民運動に参加し建設実現。現在、不可能とされている肢体不自由児（者）の共同生活の可能性に挑戦中
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