感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シガー&シュガー
11
精神科医・植村が警察の依頼で担当した青年・丹野は「大和田夫人を殺した」と言い張る。しかし植村が尋ねたその部屋には美しい大和田夫人が 確かに生きていた。殺人は患者の妄想か、治療に取り掛かる植村は倒錯した男女の世界に巻き込まれる。戸川昌子のねっとりした世界はこの作品でも健在。事件の真相には大きな驚きはありませんが、巧みな語りで読ませられるので飽きません。興味深いのは、エロティックでありながら簡単には事に及ばない美女たち。そこに戸川昌子の主張の一つがあるのかなと、この作品を読んで何度目かの印象を持ちました。2016/05/10