思考とは脳裏で死者が語り合う事である。〈第2部〉マークと遼

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  • サイズ A5判/ページ数 309p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784797487237
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

この書物は知的障害児マークと遼が主人公の哲学的推理小説である。教養小説でなく推理小説である理由がある。教養は知識の習得と理解され、たとえば脳の専門家と称する人の話は、根拠や言葉の使い方がいい加減であっても、教養だと思う人も多い。しかし『推理』するにはでたらめな専門知識は役に立たない。『推理』するには根拠にかかわる謎を解いてゆく事が大切なのだ。教養があっても推理力がないなら謎は解けないし、よけいな教養は必要ではない。同時にこの小説は哲学や個別科学などに分化してしまった状況以前の文学を回復し、目の前に開いているにも拘わらず、その意味が閉ざされている世界を開示する。読者には知的障害児マークとともに生きる意味を理解していただきたい。『マークと遼』は一部から登場している人物の名前である。マークは遼が家庭教師をやっているシンガポールの知的障害を持っている子供である。彼をどのように理解するのか、彼とどのような交流ができるのかが、小説全体を流れる主題でもあります。そして二部の終わりで読者はマークが何者であり、読者とどう関係しているのかを理解できるはずである。また、四十二編のミルグラムの「アイヒマン実験」が突きつける普通の人々の『現実』は我々が他者とどう生きるかを考えるに当たって重要な位置を持っている。それは実験がこの作品のひとつのテーマであり肯定的に復権しようとしている「普通の人々」への挑戦的現実を突きつけるものでもあるからだ。

著者等紹介

平田遼[ヒラタリョウ]
1947年石川県出身、東京都練馬区在住。京都大学数理工学科卒業。住友化学を経て、横河電機勤務。プロセスシミュレーション、人工知能、化学プロセス高度制御、医療情報などの業務に従事。日本学術振興会プロセスシステム工学143委員会元幹事。駐在含め海外生活延べ5年間。輸出管理ベルリン国際セミナーで講演(ドイツ外務省より感謝状)。CISTEC勤務。主任研究員。日本科学哲学会会員(専門は認識論、言語学、現象学、数理科学)。作品執筆書物など:「児留瞳あるいは雲の影」で文芸春秋文学界新人賞最終候補。「思考とは脳裏で死者が語り合う事である。第一部ベイショアと絵本」(新風舎 2005年)化学工学便覧(丸善)、科学技術動向調査報告書等の企画編集執筆など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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