内容説明
「ゴッホって画家、知ってるでしょ。彼の絵でこれとよく似た革靴が、画面の真ん中に一足だけ、でんと置いてある絵があるの。暗い色の背景の中から、その靴だけが迫ってくるのよ。片方がひっくり返って鋲がたくさん打ってある底が見えてる、くたびれた革の靴なんだけど、何か、不思議な存在感があるんだなあ。私の大好きな絵なの。本当にこれとそっくりなんだから」彼は首を持ち上げて、千堂さんのベッドが空なのを見定め、小声で話しだした。「千堂さんの靴、あれ、登山靴だよ。登らない山はないくらいの山男だったんだって。雪山で何か、どでかいミスで相棒死なせたって聞いたけど、これ、内緒だよ」(表題作)。73歳の現役介護支援専門員が描く、6編の人生模様。第24回新風舎出版賞井狩春男賞受賞作品。
著者等紹介
坂本美智子[サカモトミチコ]
1932年、北海道函館市生まれ。現在、東京都練馬区在住。現役介護支援専門員(ケアマネジャー)で、NPO団体・日本ケアワーカー協会理事。函館文学学校に通い、「青の時代」に参加。1977年、北海道新聞・市民文芸投稿優秀作品に選出。その後、「井上光晴文学伝習所」で学び、文学学校の有志と同人誌「森林鉄道」を創刊。「文學界」同人誌評欄に取り上げられること多数。1998年、『付添人のうた』で第十八回カネボウヒューマンドキュメンタリー大賞の優秀賞を受賞。同年三月三日、日本テレビ系列でドラマ放映(竹下景子主演、酒井美紀ら出演)。また、読売新聞社より同名アンソロジーが刊行。2004年、第十四回ゆきのまち幻想文学賞(東奥日報社主催)準大賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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