内容説明
車窓に射す陽は徐々に衰えを見せ、やわらかい茜空から薄暮へと微妙に移ろう。その移ろいを自分の人生と重ねる主人公、映子。叔母夫婦の店、ポエムへ出入りしていた光夫と雷太は親友だった。雷太は(いつか…)という思いのなか、生活基盤を築くため一生懸命に働く。再会した雷太と映子は、ほんの僅かな時間の差と感情の縺れから、本意でない別れ方をする。歳月を経て、主人公は若さゆえに失った愛に気づく。
著者等紹介
松下恵子[マツシタケイコ]
本名、本間リツ子。1949年愛媛県生まれ、東京都在住。コスモス文学同人。1998年コスモス文学に短編が掲載され、その後中篇・掌編を発表。2000年からフーコー短編傑作選に短編・童話・随筆を掲載
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