内容説明
幻視者、宮沢賢治。幻想や夢の実在を信じて疑わなかった彼の幻覚・幻聴体験はその文学を構成する重要なファクターである。その幻覚体験をどう理解し解釈して、自己の内面に位置づけ、己の思想を作っていったのか。『春と修羅』第一集の「序」文を読み解くことで見えてくる、常人をはるかに超える創造力のエネルギー、思いも及ばぬ賢治独特の法華経解釈の実像を分析する表題作ほか、中原中也『一つのメルヘン』にみる賢治の影響、独自の宗教観を『よだかの星』に辿る賢治論を集約。
目次
『春と修羅』における仏教的多重宇宙論の展開(二つの書簡の証言;「心理学的な仕事」とは何か;心象スケッチとは何か;「序文の考」とは何か「序」文解釈の試み ほか)
『一つのメルヘン』と『銀河鉄道の夜』(ふたつの河原;『一つのメルヘン』の解釈;中原中也と死;『銀河鉄道の夜』について ほか)
『よだかの星』覚書
著者等紹介
中川秀夫[ナカガワヒデオ]
1942年、東京に生まれる。1966年、東京教育大学文学部卒業。2002年、創価高等学校を定年により退職
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