SB新書<br> なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか―太平洋戦争に学ぶ失敗の本質

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なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか―太平洋戦争に学ぶ失敗の本質

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784797387063
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0221

出版社内容情報

「負け」を先送りしたあの戦争の非劇に学ぶ◎作家・半藤一利氏推薦! 太平洋戦争失敗の本質
太平洋戦争時の日本軍と現代日本のあらゆる組織に共通するジレンマ、
なかでも「先送り」「棚上げ」「不決断」体質に迫り、教訓とする1冊。

今でも日本の問題点として指摘されるリーダーシップや意思決定の不在。
あの戦争の時も、首相も天皇も最終的な決定権はなく
誰も望んでいない開戦に押し流されていった。
典型的な無責任国家は今も現在進行形である。

日本が戦争への道に転がっていった過程を見ると、
「決められない」「時流に便乗する」「空気に流される」
「見通しを誤る」「先送りする」「棚上げする」
といったことがある。

そして開戦後も多くの指揮官のリーダーシップの不在により、
ときに不決断を引き起こし、
いたずらに兵力の消耗をもたらした。

戦局の前半では快進撃を続けた日本軍も、
その後、数々の作戦の失敗から学ぶことなく、
雪崩を打って敗戦へと向かったが、
その裏では、組織が陥りやすい意思決定の矛盾や、
大本営と現地とのコミュニケーション不全といった、
極めて今日的な問題が起きていたのである。

そして先送りによる最大の失敗は、「降伏決定の先送り」である。
天皇の「時局の収拾も考慮すべきだ」という敗戦の覚悟を、
戦争指導者全員が共有できていたら、
国民の犠牲者はもっと少なかったはずだと考えられる。

こうした日本的な組織の特性は、
戦後の日本の組織にも無批判に継承され、
今日の日本企業の凋落と衰退を生み出す大きな要因となっている。
赤字事業の売却、撤退の判断…がその典型的事例だ。
決定が遅れれば、損失が膨らみ、いよいよ処理が難しくなる。

本書は日本軍と現代日本に共通する組織的特徴(欠陥)を、
これまであまり指摘されてこなかった
「不決断」「先送り」という視点から読み解き、
現代日本人の教訓とするものである。

はじめに――日本軍と同じ体質を抱える現代日本
序 章 戦前から露呈していた日本的組織の矛盾
第1章 世界情勢が読めない無能な国家指導者たち
第2章 開戦時の戦争指導者たちを誤らせた組織的欠陥
第3章 転換期に疎い日本的組織の不条理
第4章 現実を省みない組織の先送り・不決断体質


松本 利秋[マツモト トシアキ]
1947年高知県安芸郡生まれ。1971年明治大学政治経済学部政治学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了。政治学修士。国士舘大学政経学部政治学科講師。ジャーナリストとしてアメリカ、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、カンボジア、ラオス、北方領土などの紛争地帯を取材。TV、新聞、雑誌のコメンテイター、各種企業、省庁などで講演。著書に『戦争民営化』(祥伝社)、『国際テロファイル』(かや書房)、『「極東危機」の最前線』(廣済堂出版)、『軍事同盟・日米安保条約』(クレスト社)、『熱風アジア戦機の最前線』(司書房)、『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』『日本人だけが知らない「終戦」の真実』(小社刊)など多数。

内容説明

開戦劈頭、快進撃を続けた日本軍。だが、その後の作戦の失敗から学ぶことなく、雪崩を打って敗戦へと向かった。その裏では、意思決定の矛盾や、問題の先送り、無責任体質といった、極めて今日的な問題が起きており、現代の日本企業の凋落と衰退にも通じる共通のジレンマがあった。本書は「先送り」「不決断」などの視点からあの戦争の「失敗」に迫り、現代的教訓とするもの。

目次

序章 戦前から露呈していた日本的組織の矛盾(世界の常識と異なる日本の戦争観―日本の戦争観は欧米には勝てない「特異」なものだった;総力戦の時代に精神主義で臨んだ日本―第一次世界大戦での変化を知りながら対応しなかった軍部;イギリスの不決断が戦争に火を付けた―ヨーロッパでドイツを野放しにした融和政策の失態)
第1章 世界情勢が読めない無能な国家指導者たち(軍指導者たちの無知が生んだ三国同盟―世界情勢が読めず中国に加担するドイツに気づかなかった日本;第二次世界大戦勃発への情勢判断の不在―ヨーロッパの政治駆け引きがまったく理解できなかった日本政府;緒戦の勝利で敵を侮った日本軍―驕りと緩みで正確な判断を欠いた将兵たち)
第2章 開戦時の戦争指導者たちを誤らせた組織的欠陥(中央との意思疎通が欠けていた関東軍―ノモンハン事件の教訓を活かせず戦争に突入した日本;国家に汚名を着せた外務省の不手際―宣戦布告が真珠湾攻撃後となった大使館員の大失態;劣勢を打開する特攻という不条理―もはや特攻の発想しかなくなった海軍の無為無策)
第3章 転換期に疎い日本的組織の不条理(戦力の分散で非効率的な戦いをした日本軍―制海権と制空権を無視した戦線拡大が招いた敗北;失敗しても栄転する人事の不条理―世紀の愚策・インパール作戦に見る陸軍の無責任体質;嘘に嘘を重ねて敗北を先送りした日本―誤報・虚報を訂正できない自己保身体質が被害を拡大させた)
第4章 現実を省みない組織の先送り・不決断体質(戦術の転換に不対応すぎた日本―陸海軍のセクショナリズムがアメリカの民間力に敗れた;統制経済が新兵器開発を遅らせた―官僚による民間経済介入は新しい発想を妨げた;講和より決戦を重んじた国家指導者たち―末期的症状でも先送りと不決断を貫いた日本;最後の最後まで「負け」を先送りした日本―間際になっても終戦の構想を潰し、軍人はクーデターを企てた)

著者等紹介

松本利秋[マツモトトシアキ]
1947年高知県安芸郡生まれ。1971年明治大学政治経済学部政治学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了。政治学修士。国士舘大学政経学部政治学科講師。ジャーナリストとしてアメリカ、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、カンボジア、ラオス、北方領土などの紛争地帯を取材。TV、新聞、雑誌のコメンテーター、各種企業、省庁などで講演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ほじゅどー

14
★★★日本軍は情報を隠蔽し、嘘に嘘を重ねて敗北を先送りした。この隠蔽体質は日本人の「恥」「見栄」の感情と無責任な組織原理から生み出されたのではないか。日本政府は国家総動員法で経済を低迷させ、自らイノベーションを封鎖してしまった。日本企業もその日本軍と同じ「体質」を抱えているのではないか。三菱、東芝のデータ偽装。シャープは台湾企業に買い叩かれた。その根底にはトップの無責任、決断先送り、無戦略、情報活用不足、即応力不足、硬直化した組織体制などがあるのではないか。そして日本政府も同じである。2017/11/28

tolucky1962

13
太平洋戦争の失敗を解説、今の日本の問題の本質を探る。今年7/15初版。サブタイトルは著名な書「失敗の本質」から。章の最後に最近の政治や企業での問題と対比。降伏直前の日本政府は酷い。P188誤報を海軍はひた隠し何万という将兵を無駄に死なせる..本土決戦の準備..アメリカ軍と刺し違えるよう指示したが武器も弾薬もなかった..日本人が二千人も死ねば相手も相応の死者が出るから占領を諦めるかもしれない..今流に言えば国民には知らせるな、命より国家が優先の思想で、大量に死者が出ても国体が倒れるまで変わらないのだろう。2016/07/17

新父帰る

5
太平洋戦争の失敗の本質を現代企業の失敗と照らし合わせながら分析。一言で言えば、「無責任と先送り」体質。本書では陸軍・海軍の事例を取り上げているが、海軍の方が多いように感じた。三国同盟、ノモハン事件、インパール作戦、ミッドウェー海戦、台湾沖航空戦、レイテ沖海戦等。関心の項は、「統制経済が新兵器開発を遅らせた」ところ。1938年の国家総動員法かが、イノベーションの芽を摘み取り、開発競争を回避。一方、アメリカはベンチャー企業が次々と立ち上がり、ゼロ戦を凌ぐ戦闘機が続々開発された。現代に通じる話も盛りたくさん。2016/11/07

こも 旧柏バカ一代

4
立法府に出される行政府からの書類は偽造、隠蔽、改竄を疑わないといけない昨今。 先の大戦で愚かな行いをした軍は解体されたが、行政府の官僚機構はそっくりそのまま残った弊害が表面化して来てる。 その為の警報装置、マスコミは資金面で拘束され都合の良いプロパガンダを垂れ流す。 日本は失敗から何も学ばない愚かな国だと再認識した。2018/12/31

oooともろー

3
無責任体質と先送り体質は変わっていない。2016/09/08

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