内容説明
「格差」は政策によって生み出された人工的なもの(=政災)か、それともグローバリズムに身を任せた自然な結果(=天災)か。今後、格差社会が深刻化するにつれ、犯人探しが大きな論点になってくる。格差が容認される社会から一転、多くの国民が格差に憤りを感じる日は訪れるのか?異色の元キャリア官僚による近未来社会のシミュレーションで、日本の将来像が浮き彫りになる。
目次
第1章 格差社会は「政災」か、それとも「天災」か
第2章 本当に小泉政権は格差拡大の真犯人なのか
第3章 「格差容認」から「格差への怒り」に変わるXデーの条件とは
第4章 富裕層は追いつめられるのか―「小さな政府路線」の持続性
第5章 格差社会への対応としてどのような政策が実行されるのか
第6章 「経済の法則」と「社会の法則」の切り分けを―日本社会に信頼関係を再び
著者等紹介
中野雅至[ナカノマサシ]
1964年奈良県大和郡山市生まれ。88年同志社大学文学部英文学科卒。89年大和郡山市役所入所。在職中に国家1種行政職試験合格、90年旧労働省入省。The School of Public Policy,The University of Michigan留学、厚生労働省大臣官房国際課課長補佐(ILO条約担当)を経て、公募により兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Humbaba
3
自由と平等.これらはどちらが良い,というものではなくて,どちらも欠かすことのできない貴重なものである.しかし,それらを両立させることは難しい.自由を許しすぎれば富裕層は貧困層をさらに食い物にして肥え太る.一方平等を重視すればよいかと言われても,素直に頷くことは難しい.やりすぎれば何をやっても変わらないということで社会が停滞してしまう.2011/01/07
Humbaba
2
富裕層から多くの税金をとって,それを貧困層に渡す.生活を平等にするという観点から見れば,非常に正しいことであろう.しかし,無理やり結果だけを平等化させることは,ほんとうに正しいのだろうか.上に立つ人間は,なにはともあれ努力してリスクをとったことは事実である.それと同じものを,努力を怠った貧困層が享受するというのは,納得できないという意見が生まれるのも当然であろう.2012/03/17
ひでかみ
1
3.02020/05/06
香菜子(かなこ・Kanako)
1
富裕層の傲慢、貧困層の怠慢という副題がついていますが、かならずしも富裕層が傲慢で、貧困層が怠慢であると結論付けているわけではなく、問題の本質を丁寧に説明していました。納得しました。 2015/08/31
ken
1
格差社会について詳細に分析した本。参考文献の数も多く、データも詳細でグラフの引用もあり見やすく信憑性も高い。取りざたされることが多い話題でもっと読まれてもいいのではないかと思った。さて、著者は小泉・竹中構造改革と格差社会の進展には必ずしも明確な因果関係がないという。一方でジニ係数の増加は事実なのであって、それと格差の広がりが期を一にしているのには興味に値する。能力開発と機会の均等が格差是正のキーワードということに関しては同意する。自助努力を促すようなハード面のサポートが不可欠である。2009/10/27