内容説明
喫煙者と非喫煙者は“共生”できるのか?―“受動喫煙からの自由”と“喫煙する自由”―タバコ規制の正当化根拠と個人の自由をいま哲学的に問い直す。
目次
喫煙はどこまで個人の自由か―喫煙の倫理学(喫煙と倫理学;喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張;公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張;私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張)
喫煙しない自由からの闘争―喫煙規制問題を倫理学する(日本における喫煙規制の最前線;喫煙規制強化は倫理的に妥当か;喫煙規制強化に隠された倫理的問題)
医療経済学の立場から見た喫煙と喫煙対策(経済学から見たアディクション;健康被害の不確実性と個人の楽観性の違いを考慮したモデル;禁煙先延ばしのモデル化;個人内葛藤を考慮に入れたモデル;行動経済学の発展;アディクションの経済理論と喫煙対策)
ある喫煙者の反省文(喫煙の自由から病気へ;嫌煙権訴訟;危害原理と権利;公衆衛生の立場;喫煙をめぐる社会情勢の変化;喫煙者の現在)
ネオ・ピューリタニズムに抗して―喫煙の人生論と法哲学(前篇 我が“喫煙人生劇場”;後篇 喫煙者と非喫煙者の公正な共生のために)
著者等紹介
児玉聡[コダマサトシ]
京都大学大学院文学研究科准教授(倫理学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Iwata Kentaro
7
日本では倫理道徳の議論はあるが、倫理「学」的議論は乏しい。だから、なんとかは良い、悪いという議論はあるが、「良い」の根拠、「悪い」の根拠は詰めれてない。本書は複数著者によるもので内容は凸凹していたが、特に奥田論文は読み応えがあり、学びにもなった。喫煙者の立場から、、、がエッセイ以上にならなかったのは残念。論点の整理にはとてもよい本です。2021/08/06
ただの人間
1
主に喫煙者の立場から喫煙について書かれた論文をまとめた一冊。著者の喫煙(禁煙)遍歴の開陳も含め読み物としても面白いが、末尾の井上論文は圧巻。個人的なたばことの付き合い方の話をしていると思ったら急に(例によって憲法論の部分は若干精度が落ちるとはいえ)法哲学的な密度の高いさすがの議論が現れる。リベラリズムという価値観をたばこ問題自体に照射することはあっても、リベラリズム的な観点からたばこ規制の他の領域への影響を検討した論稿は従前あまりなかったのではないだろうか2021/07/31
女性佐藤
0
前半二人の論稿ではタバコ規制に関して、倫理学的な観点から論点が整理されている。最後の井上達夫の論稿後編はまさに「倫理」の話をしていてかなり面白かった2024/01/13
蛮族
0
メチャクチャおもろい おすすめです2022/11/27