内容説明
税法の法文は課税庁と納税者の対立がもっとも鮮明化する法領域であり、他の法領域にもましてその解釈問題の重要性が指摘されるが本書は著者による「妥当な解釈とその解釈が合理的な結論を導いているか」の検証のための論文をまとめた研究書。
目次
所得税(土地の譲渡による所得の区分―所得税基本通達三三‐四、三三‐五及び二重利得法の検討;遺留分減殺請求権の行使における租税法と民法の交錯―最高裁平成四年一一月一六日判決を素材にして;遺産分割における相続税と所得税の課税関係;資産の交換取引課税と租税回避行為―土地等の譲渡について売買契約という法形式がとられている以上、それが税負担の軽減を図るためであったとしても、実質的には交換であるとして課税することはできないとされた事例;買換資産の取得期間の延長手続きについて―租税特別措置法三七条四項かっこ書の買換資産の取得期間の延長を受けるためには、資産譲渡の翌年の一二月三一日までに延長申請をすることを要するとされた事例;現行土地税制の再検討と改革課題―土地税制の体系化に向けての法的視点)
法人税(企業課税における法人概念―アメリカにおける企業形態と租税要因;OECDモデル条約と国際的なパートナーシップの課税問題―パートナーシップの多国籍的展開;関連会社の資産低額譲渡と課税問題―ミキ・グループ事件をもとにして;損失の計上時期と損害賠償請求権の影響―損失確定説の蘇生?)
著者等紹介
占部裕典[ウラベヒロノリ]
金沢大学法学部教授(租税法、国際租税法、行政法)。1953年山口県生まれ。神戸大学法学部卒業、神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。エモリー大学ロー・スクール修了。LL.M(米国・エモリー大学ロー・スクール)、博士(法学)
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