内容説明
世界中の人間の日常生活では、法は国の法律だけでなくスポーツルールも学校や会社の規則も家族や部族のしきたりも法であり、時間も時計と暦りほかに地方や農業や宗教また羊飼や砂漠には自然と行事の時間がある。どちらも様々に異なるからそれぞれの間には衝突混乱が起っても不思議ではないのに、一つの社会には全体として一つの秩序が成立している。それは何故なのか。本書はこの疑問を提起して英独仏の文献を渉猟し、その多様な実例とくに公式法体制と公式時間制とは別に、非公式の法と時間が行われている例を検証し、進んで多元的法体制と多元的時間制が、一応は別個に成立しつつしかも両制は平行した働く法規範だとする理論を建てた。法文化を探索する法人類学の成果である。
目次
第1章 問題―時間の法文化的意義(問題の意義;G・フッセルの法現象学論 ほか)
第2章 明治改暦の法制と法文化(改暦によるわが国公式時間制の確立;改暦に現れた法文化の特徴)
第3章 時間論における法の認識(多様な時間論の鳥瞰;ウィンクラーの哲学論 ほか)
第4章 法文化における公式・非公式時間制(現代諸国家の公式時間制;社会的時間制の諸相 ほか)
第5章 結論―多元的時間制の法文化(問題探究の回顧と展望;方法の問題 ほか)
著者等紹介
千葉正士[チバマサジ]
1919年誕生。1948東北大学大学院後期課程修了(法哲学)。1949‐83東京都立大学勤務(法哲学)、現名誉教授。1981‐国際法人類学会理事。1983‐93東海大学勤務(法社会学)。1988‐91日本法社会学会理事長。1992‐95日本スポーツ法学会会長
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