内容説明
われわれの社会生活は、好むと好まざるとにかかわらず、様々な場面で様々なかたちで企業活動と密接に関係している。そのため、ひとたび企業が逸脱的な活動を行った場合には、その影響もきわめて大きなものとなる。企業犯罪がわれわれの関心を集める所以である。薬害/欠陥商品による事故/労働災害/環境汚染/証券・金融不祥事等、そのような事例については枚挙にいとまがない。このような企業活動によって引き起こされる被害の重大性ゆえに、企業活動規制に対するわれわれの関心はその予防・統制に集中することとなる。そしてこのような文脈において、刑事制裁も有害事態の防止という側面からその役割を果たすよう期待される。もちろん、企業の問題行動に対する有効な防止策を考えることは必要である。ただ、そのような観点から刑事制裁は有効なものであろうか。また刑事制裁を有害事態の防止手段として捉えることに問題はないのであろうか。そのことを本書では問う。
目次
第1部 刑事制裁によるカルテル規制政策について―カルテル抑止効果を中心にして
第2部 カルテル規制における規制当局の行動
第3部 企業活動規制戦略の理論的検討
第4部 企業活動規制における刑事制裁の機能
補論 アメリカ環境保護法にみる企業活動のコントロール
著者等紹介
松原英世[マツバラヒデヨ]
1969年兵庫県に生まれる。1992年関西学院大学法学部卒業。1994年関西学院大学大学院法学研究科博士課程前期修了。2000年関西学院大学大学院法学研究科博士課程後期修了、博士(法学)取得。現在関西学院大学法学部非常勤講師。共著書に『経済刑法入門(第三版)』成文堂(1999年)
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