内容説明
北欧リアリズムの雄アルフ・ロスは、法は裁判官の胸中にありとして判例を重視する独特の法解釈論を展開、これを具体化したクヌド・ヴォーベンの刑法解釈がテンマーク刑法学の核となった。本書はその徹底研究を基礎に刑法解釈の新しい方法を提唱する。著者は不作為犯の作為可能性に関する鋭利な分析により若くして知られた俊秀であるが、概念分析に飽きたらず機能主義に投じ、やがてロスを見出してデンマークに留学、同国刑法の歴史・理論・実務をつぶさに見た目でわが国の刑法学を見出す。わが国の機能主義が陥り易い穽を指摘、これを避ける道筋を示す。
目次
第1部 デンマーク刑法学とその機能主義(序論:目的と構成;デンマーク刑法と刑事司法の発展;デンマーク刑法学の法理論的基礎;デンマーク刑法の解釈論と法政策)
第2部 新しい機能主義刑法学の構想(我が国における機能主義刑法学の発展とその問題点;新たな機能主義刑法学の展開;ポストモダン法学を中心とする経験主義・機能主義批判)
著者等紹介
松沢伸[マツザワシン]
1968年東京に生まれる。’91年早稲田大学法学部卒業。早稲田大学大学院法学研究科博士課程、立教大学大学院法学研究科博士後期課程を経て、’98年博士(法学)(立教大学)。現在、日本学術振興会特別研究員
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