- ホーム
- > 和書
- > 法律
- > 民法
- > 物権法・財産法・債権法
内容説明
本書の書名を『危険負担と危険配分』としたことについて触れておきたい。「危険負担」が入るのは本著の前半が種類物売買における危険移転の時期とその前提である種類債権の特定であることに由来する。「危険配分」の語が入っていることについては若干その動機の説明をしておきたい。解除の制裁機能を考慮して責に帰すべき事由により解除されるに至った相手方の不利に、解除権者の有利に解除されるべきだ。この考え方を危険配分と呼ぶことにする。解決の「座りのよさ」を求める上で危険配分の考えが役に立つことがあれば、危険配分の決め手となるのは問題の特質に応じて追跡可能であるのではないかと思われる。後半の論文の中でも危険配分の言葉が登場するが、これ自体結論ではなくて、これからこの考え方をじっくり考えるという、出発点の意味でこの言葉を本書の書名の中に入れた次第である。
目次
「特定」の基準・Lieferung(交付)概念
種類債務の特定
種類物売買における危険移転の時期
種類債務の特定と危険移転
種類物売買における危険移転の時期
受領遅滞
契約解除における原状回復義務に基く責任の範囲
瑕疵担保の効果
不動産賃借人の修繕義務
賃貸借契約における更新料の支払義務〔ほか〕