ファン・ホーム―ある家族の悲喜劇 (新装版)

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ファン・ホーム―ある家族の悲喜劇 (新装版)

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  • サイズ A5判/ページ数 252p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784796877114
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0979

内容説明

セクシャルマイノリティとして、文学を愛する者として、共感を覚えながらもすれちがい続けた父と娘。互いをつなぐ微かな糸を、繊細にして静謐な筆致でたどる、ある家族の喪失と再生の物語。

著者等紹介

ベクダル,アリソン[ベクダル,アリソン] [Bechdel,Alison]
1960年生まれ。ペンシルベニア州出身。10歳から日記をつけ始め、それ以来ずっと自分自身の人生を注意深く記録し続けている。1983年から2008年にかけて、レズビアンの主人公とその周囲の人々の日常を綴ったコミック・ストリップ『Dykes to Watch Out For(レズビアンに気をつけて)』を連載し、「同ジャンルにおける傑作の一つ」と称賛された。また、7年の歳月をかけて完成したという本作『ファン・ホーム』が、発売後2週間にわたって『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー・リストに入り、批評家、読者の双方から絶賛される。複数のメディアで2006年度のベスト・ブックの1冊として挙げられ、2007年にはアメリカで最も権威のある漫画賞の一つ、アイズナー賞の最優秀ノンフィクション賞を受賞。さらに全米批評家協会賞、アングレーム国際漫画フェスティバルの優秀作品賞にノミネートされるなどして話題になった

椎名ゆかり[シイナユカリ]
海外コミック翻訳者、東京藝術大学非常勤講師。アメリカ・オハイオ州ボーリンググリーン州立大学院ポピュラーカルチャー専攻修士課程修了。平成23~25年度文化庁芸術文化課マンガ研究補佐員。海外マンガや論文の翻訳及び海外におけるマンガ状況について執筆を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

109
「LGBT同士の父娘」の家族間の葛藤とわかり合いというテーマを、純文学ならぬ「純漫画(造語)」により掘り下げた特異なマンガ作品。作者がレズであること、その父親がゲイであることから実話に近く、迫力十分である。その内容の好悪は別にして、この作品のマンガでの表現について考えると、多少吹き出しや文章での説明が長くなるにしても(また、微妙なニュアンスはねちっぽい文章表現に劣るとしても)コマごとのキレは文章作品を凌駕し、スッキリかつ画然と表現できるメリットはあるだろう。⇒2024/10/04

アキ

75
2007年アメリカで権威ある漫画賞の一つアイズナー賞を受賞したノンフィクション。父親と私との幼い頃からの関係を自らがつけていた日記から振り返り、44歳で自動車事故で死んだ父親の心の闇を推測する。著者がレズビアンを告げた後だからなのか、父の好んだカミュと同じ自動車事故だったのはそもそも事故なのか、フィッツジェラルドと同じ歳で死んだのは虚構からの破綻なのか、父がホモセクシャルで庭師と不倫をしていた事実や妻との関係の破綻も関係していたからなのか?娘が父と同じ歳になり、7年かけ父の読んだ本から解き明かそうとする。2020/09/20

天の川

49
漫画・コマへの詳細コメント・日記で構成され著者の自伝。1980年に自殺した父は高校教師兼葬儀屋で、ゲイであることを(性的関係を持ちつつ)娘に隠して生きていた。理想の家を偏執狂的に作り上げ、文学をこよなく愛し…そんな父への追憶と分析。機能不全家庭で育った彼女も同性愛者で、同じ文学を好む父娘は文学を通して会話するようになるがわかりあうことはない。娘のカミングアウト、父の過去の告白…その後の会話はなく彼は逝った。文学を通して父を分析・理解しようとする彼女の行為は、自らを再発見する行為に等しかったのではないか。⇒2022/10/25

モルテン

11
アメリカの小さな町の父と娘の物語。性的マイノリティであり文学への造詣が深いという共通点のある2人の人生の歩みを、娘は自身の視点から描き出す。父は癇癪もちで一風変っていて秘密を抱えており、決して良い「父親」ではなかった。娘が幼い頃の思い出では、その「良い父親」ではなかった父の姿が印象的で、アメリカで父親をやるのは相当難しいのだなという感想を持ったが、後半、娘が自らのセクシュアリティを自覚し文学を好むようになってお互い対等な人間のように接することができるようになってからは、こういう父親の在り方もあるのだと→2021/04/27

jamko

9
昨年末にこのグラフィック・ノベルが復刊されることが一部TLで話題になってたので知らなかったけど買ってみたんだけど、予想外に時間がかかってしまった。トルストイ、ウンベルト・エーコ、フィッツジェラルド、ジョイス、プルースト、共通の趣味である文学から様々に引用しながら、レズビアンである著者がバイセクシャルであった父親を家族としての記憶と重ねながら考察する内容はなかなかに難解だ。時系列が前後することもあり、私自身も何度も戻って読み返し、ということを繰り返しながら読んだ。これからもまた何度でも読むんだと思う。2018/01/11

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