内容説明
傘づくりひと筋の職人、鎌田智子さん77歳。今日も鎌田さんのもとに着物が届く。着物を日傘に仕立てて欲しいという依頼だ。美しく生まれ変わった日傘に込められた家族への思い。鎌田さんが生きてきた「昭和」と日傘づくりを依頼した人たちの「昭和」があたたかく交わる。2006年に放送され、視聴者から大きな反響が寄せられたNHKにんげんドキュメント「日傘こころ模様」のその後。
目次
序章 日傘に恋する永遠の少女
第1章 傘との出会い
第2章 「ハマヲ洋傘店」の誕生
第3章 日傘第一号
第4章 日傘は着ていた人との対話
終章 もうひとつの「日傘こころ模様」
著者等紹介
小堺正記[コサカイマサキ]
1965年東京都生まれ。高校時代、文化祭で劇の演出を手がけたことからテレビの制作に強い関心を抱くようになる。1988年NHKに入局。「難問解決!ご近所の底力」や「にんげんドキュメント」、「にっぽんの現場」など、主に情報番組やドキュメンタリーを制作。2006年9月に放送された、にんげんドキュメント「日傘こころ模様」は三〇〇本以上手がけた番組の中でも、特に思い入れが深いドキュメンタリーとなる。その後は、夕方の生活情報番組「ゆうどきネットワーク」を経て、2008年6月より「クローズアップ現代」のプロデューサーを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ybhkr
1
素敵な本でした。以前から気になってはいたのですが、頑固おやじ職人の今時の若いもんは…的なものを想像してなんとなく手に取るだけでしたが、リユースでいただいて読んでみたら満州引き上げ少女が社宅に入りたい一心で洋傘の道に入り、天職に出会い、娘2人にやりたいことをやらせることができるくらいの収入を得て、70過ぎてなお全国からの依頼が殺到する傘職人として活躍する話でした。昭和五年生まれの旦那様は理解があり、子育て中や定年後も妻をサポートしている。傘を通じて幸せになった方々のドラマも読み応えがあり素晴らしい細腕繁盛記2017/08/23
M_Study
0
着物には縁が薄くて、あまり気に留めることがなかったが、着物1枚1枚には女性の思いが詰まっているのだと、しみじみ感じた。着物の生地は個性的で一定の法則はなく、柄はすべて違うらしい。託された着物は世界で1つだけのもので、凄いプレッシャーがあると思う。でも今までごめんなさいしたことは一度も無いのだという。どんな状況でも必ず結果を出す、真のProfessionalを感じた。2013/08/09