内容説明
斬新なストーリーテリングによって70年代のハリウッドに風穴を開けた映画作家ロバート・アルトマン。『M*A*S*H』、『ロング・グッドバイ』、『ナッシュビル』といった代表作の分析を通して、その実験的なサウンドから登場人物たちの「物語」/「生」が立ち現れるプロセスを解き明かす。映画音響を物語学の観点から聴く、フィルム・スタディーズの新たな試み。
目次
序章 “初期アルトマン映画”とは何か
第1章 葛藤の音を聴く―『雨にぬれた舗道』(一九六九)における主観性の表象
第2章 映画の“混成的な語り”―『M*A*S*H―マッシュ』(一九七〇)における拡声器の音声
第3章 交錯する複数の世界―『ギャンブラー』(一九七一)における“サウンド・ブリッジ”
第4章 批評的アダプテーションと語り―『ロング・グッドバイ』(一九七三)の“疑似ヴォイス・オーヴァー”
第5章 “潜在的な物語”を語る音―『ボウイ&キーチ』(一九七四)におけるラジオ音声
第6章 ステレオのパラドクス―『ナッシュビル』(一九七五)における宣伝カーの音声
終章 “再生すること”―フィクションの新たな叙述に向けて
著者等紹介
山本祐輝[ヤマモトユウキ]
1988年宮崎県生まれ。立教大学大学院現代心理学研究科映像身体学専攻、博士課程後期課程修了。博士(映像身体学)。現在、立教大学現代心理学部兼任講師。映画研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。