内容説明
たえず辺境を、未知を、外部をめざす冒険者・探検者たちの破天荒な経験は、物語られ、消費され、メディアを通して再生産されるなかで、はじめて我々の社会的経験となる。本書は、明治から現代までの一五〇年間に行われた彼らの様々な実践記録とそこから生まれたテクストを分析し、近代日本(及び中国)における“冒険・探検”が社会に及ぼした影響の意味を多様な視点から解明した画期的な論集である。一九六二年のヨットによる世界初単独太平洋横断など数々の冒険を成し遂げた堀江謙一氏のインタビューを掲載。
目次
第1部 近代化する日本と中国の冒険と探検(明治日本への「冒険」の導入;一八九三年の「探検熱」と壮士たちの「殖民熱」―福島安正・郡司成忠と明治二〇年代の冒険・探検;学術探検と大陸浪人―白瀬矗の南極探検と明治三〇~四〇年代の冒険・探検;『少年世界』が媒介する「冒険・探検」―冒険小説作家、江見水蔭・押川春浪の形成と拠点;遺族にとっての「冒険」と「物語」―春日俊吉の山岳遭難記と小説における鎮魂・癒し ほか)
第2部 現代日本社会における冒険と探検(堀江謙一インタビュー「太平洋ひとりぼっち」とは何だったのか―共鳴しあう冒険と日本社会;『サイクル野郎』に見る一九七〇年代の自転車日本一周の意味と価値;「川口浩探検シリーズ」と「真正性」の変容―テレビ時代のスペクタクルな冒険・探検;「人跡未踏の地」なき時代の冒険)
著者等紹介
鈴木康史[スズキコウシ]
1967年生。奈良女子大学人文科学系准教授。身体文化学、大衆文化論、明治のスポーツ~身体文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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