内容説明
東洋と西洋の文化伝統をゆたかに混淆させた中島敦。その作品はつねに(我とは何か)という哲学的・根本的な問いを追いつつ、面白い話として物語られた。鋭い思考、敏感な感受性、深い教養によって日本に於ける実存主義文学の先駆となった中島敦は、そのテーマや題材をいかなる手法で展開させたのか。「中島敦作品集」の英語翻訳者が海外の研究をふまえ、世界の文学・思潮のなかで中島敦を読む。
目次
1 中国古典世界を旅して(歴史小説家としての中島敦;闇にひとすじの光―中島敦の「名人伝」)
2 中島敦のインターテクスチュアリティ(『ファウスト』『ツァラトゥストラ』のインターテクストとしての「悟浄歎異」;中島敦のミクロネシア、そして戦争体験;ロバート・ルイス・スティーヴンソンを追って―『光と風と夢』と蚕のイメージ)
3 資料(「山月記」;「名人伝」;「悟浄歎異―沙門悟浄の手記」 ほか)
著者等紹介
マッカーシー,ポール[マッカーシー,ポール][McCarthy,Paul]
1975年ハーバード大学大学院にてPh.D.取得。駿河台大学現代文化学部教授。専門は仏教とキリスト教の比較研究、谷崎潤一郎の文学の英訳と研究。『猫と庄造と二人の女、ほか』の翻訳ではドナルド・キーンセンター日米友好基金日本文学翻訳賞を受賞した
オクナー深山信子[オクナーミヤマノブコ]
東京教育大学英文学科を卒業後、東京大学大学院、ハワイ大学大学院、ミドルベリー大学、スタンフォード大学で学ぶ。1984年ハワイ大学にてPh.D.を取得。現在はハワイ大学東アジア言語文学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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