内容説明
絶対的な「師」との「終わりなき対話」を通してその哲学の核心をなす「師弟」「他者」「住まい」「女性」「エロス」などの概念を明快かつ平易に解明する、きわめてユニークなレヴィナス入門。
目次
第1章 他者と主体
第2章 非‐観想的現象学
第3章 愛の現象学(家と女性;女性と主体;引き裂かれた人間)
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院人文科学研究科(仏文専攻)中退。東京都立大学人文学部助手を経て、神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス現代思想、映画論、身体論
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感想・レビュー
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しまうま
5
親鳥がヒナに食事を与えるように、難しい哲学的文章を説いてくれる一冊。噛み砕いて噛み砕いて書いてくれているはずなのに、僕はそれがどんな味をしているかすらわからない。10分の1も理解できてない。けれど間違いなくそれを僕は消化したのだ。読み手に優しい内田さんの文章がとても素敵な一冊だった。2011/10/17
白義
4
とことんレヴィナスに寄り添い、師であるレヴィナスを讃えるために書かれている。タルムード講話をはじめとするレヴィナスのテクスト、読書論からフッサール現象学との対話と離反、評判の悪い女性論の再検討を経て、愛とエロスの現象学とでも呼ぶべきアクロバットな他者論を展開している。レヴィナス関連の本としては高度にわかりやすく、内容も内田樹の本の中では屈指の出来映え。私家版ユダヤ文化論はこれの姉妹編としても読めそうだ2011/04/01
とくま
2
×P24中断。全く反応せず。2015/05/18
春ドーナツ
2
めくるめく知的興奮とはこのようなものなのか、とワクワクしながら読み進めた。2012/01/19
amanon
2
僕にとってレヴイナスという哲学者は、難解でその著作の言わんとするところは殆ど理解できないのにもかかわらず、なぜかどこか惹かれてしまうという不思議な人である。「殆ど理解できないのにも拘らず、なぜか強く惹かれてしまう」理由の一端がこの書で解き明かされているような気がする。タイトルにもあるように、著者のレヴイナスに対する愛情の深さを思い知らされるような気がする。後、痛快だったのはイリガライのレヴイナス批判に対する反批判。僕も人づてに知った彼女のフェミ論には密かに反感を抱いていたので、かなり溜飲が下がった。2011/09/22