内容説明
この“事典”は、少なくとも三つの読解の「次元」、あるいは水準を提示している。第一に、数多くの宗教に関する不可欠なデータを含む「客観的」な説明の次元・第二には「文学の」次元。この次元において読者は、ミルチャ・エリアーデが欲していたような宗教史の「ロマン」ではないにせよ、少なくとも宗教という主題に関連する一連の「物語」を読むことができるだろう。そして第三として、諸宗教システムに関して、その類似点と相違点の構造を分析する次元。ディスプレイ上に表示される文字の発光、コンピュータの出力としての私の思考、プリントされて保存されつづけるこれらのページ、これらと同様に本書の三つの次元はいたるところで同時に見られるだろう。
目次
先史時代の宗教
メソポタミアの宗教
エジプトの宗教
カナンの宗教
ヒッタイトの宗教
ギリシアの宗教
ローマの宗教
トラキアの宗教
ヘレニズム時代の宗教
密儀宗教〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
『世界宗教史』を項目別に要約した本書は、3つのレベルで書かれたという。個々の客観的データによる説明、それらデータが宗教という統一テーマで時間直線上に配置される物語、そして各宗教を比較対照して構造的な分析を施す議論である。著者の高弟クリアーヌが参加した本書は、著者が祖型やスピリットという検証不能な概念で宗教を一元化するのとは異なり、各々の主要命題から選択肢が分岐するシステムとして宗教を捉える。本書では、構造分析のレベルで、著者との対話が多く認められ、読者は著者の宗教学を仮説の総体として受け取ることができる。2021/08/11
lobking
1
図書館で借りたものの、結局いつか買ってしまいそうだ。良書。2009/08/10