宝島社新書
なぜ日本は、精神科病院の数が世界一なのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784796695923
  • NDC分類 498.16
  • Cコード C0295

内容説明

全世界185万床の約5分の1、実に約35万もの病床を保有する日本の精神医療。脱収容化が進む先進国の中にあって、なぜ日本だけがこれほどまでの病床を保有し続けているのか。あまりにも多い病床を埋めるべく、「寝たきり」ではなく「寝かせきり」にされる世の認知症高齢者たち。そして、病院の経営維持のため長期入院を強いられ、人生そのものを台無しにされた、夥しい数の「入院加療の必要のない人びと」。先の大震災では、多数の高齢者の死や1カ月にわたる遺体の院内放置など、改めて精神医療現場の杜撰な体質が浮き彫りとなった。患者の人権を無視した日本の精神医療が抱える“病巣”に鋭く切り込んだ一冊。

目次

第1章 3・11―そのとき、入院患者は(精神科病棟への面会;半年ぶりの再会 ほか)
第2章 精神医療の元凶「保護者制度」(夥しい数の社会的入院者;世界的にも異常な数字の日本 ほか)
第3章 患者が病院の固定資産にされるカラクリ(「斜陽のイギリスから学ぶものは何もない」;病院による強権支配体制の恐怖 ほか)
第4章 抑圧された収容生活からの脱却(“殺人病院”を訪ねて;大和川病院の暴力体質 ほか)

著者等紹介

織田淳太郎[オダジュンタロウ]
1957年、北海道生まれ。早稲田大学卒。ノンフィクション作家。スポーツへの造詣が深く、野球・ボクシング・陸上などに題材をとったノンフィクション、コーチング本を数多く著す。また、自身のうつ体験もあり、精神医療分野のノンフィクションも手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カッパ

16
【◯】【概要】東日本大震災で表にでてきた精神科病院の闇に目を向けている。リアルな人の意見と絡めながら。日本は世界の5分の1の精神病床を占めている。なぜなんだろう?固定資産化してる?送り出す側も受け入れる側も拒否している。そして、本人も諦めるのか? 【感想】苦しい。でもなんとかしていく必要がある。一歩ずつ2018/01/01

YUTAKA T

10
日本の精神科病床の数は35万床で、全世界の精神科病床の数は185万床で、全世界の5分の1の精神科病床が日本にあることになるといいます。人口当たりで計算してみると、日本の精神病院の病床数は、世界平均の約15倍です。日本社会の強力な同調圧力をかけられても周りに合わせられない人や、空気を読めない人は運が悪いと閉じ込められるシステムですね。それでこんなにたくさんあるんですね。ボクもちょっと運が悪ければいくらでも精神科病院長期入院も有り得たな、と感じるくらい、入院患者の方々が普通です。2023/08/24

yuko nomoto

2
統合失調症の発生率は100人に一人といわれています。この本は、全世界185万床の約5分の1、約35万床を有するという日本の精神医療の内面に切り込んだノンフィクションで、3.11を契機として転院を余儀なくされた患者のインタビュー等も多く盛り込まれています。 仕事でもかかわりがある問題ということもありますが、先入観や一方的な視点にとらわれることなく、もう少し見識を深めたいと思っています。2012/10/21

たぬき

1
量と質の 異常性2013/04/19

yukitom

1
精神科病院における処遇について、震災をきっかけに転院、退院した患者へのインタビューを基にしている。歴史的な処遇や背景についても述べられていた。一部に誇張されているように感じる点もあった。平均在院日数については少し古いデータが用いられていたため。しかし、海外と比較すれば長期であることに変わりない。医療費や生活保護費の増大に伴い、地域移行が叫ばれている。歴史的な背景を踏まえ、現在の何十年に渡る長期入院に至っているのかを忘れてはならない。2013/03/19

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