内容説明
時代を超えて若者から愛され続ける、昭和を代表する作家・太宰治。学生時代から自殺・心中未遂を繰り返し、ついには心中で果てる39年の人生は、「人間失格」にある「恥の多い生涯を送って来ました。自分には人間の生活というものが、見つからないのです」という一節そのもののようでさえある。「斜陽」などの代表作から、未完の「グッド・バイ」まで、全13編を所収。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
46
太宰の世界を堪能しました。殆どの作品から「死」の香りがするのは、それだけ太宰が現実に追い込まれていたからでしょう。『人間失格』を読むと自分は何だろうという疑問が伝わってきますしね。それだけ感情表現が巧みということでしょう。暗い空気に浸りたいときに読むと良いかもしれません。2023/04/01
優希
40
再読です。太宰の世界を存分に味わうことができました。「死」の香りが漂うのは、太宰自身が自殺や心中を繰り返していたからかもしれません。『人間失格』に太宰の想いが詰まっているような気がしてなりません。感情表現が豊かな故に、美しくも哀しい物語が紡げるのだと思いました。2023/11/17
優希
39
何度読んでも文学と世界観に浸り込んでしまいます。殆どの作品から「死」の香りが漂うのに魅せられました。豊かな感情表現が故、美しくも哀しい物語を紡いでいるように思います。その儚さに魅了され、自分は太宰を読むのです。2024/01/19
MINA
24
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きてさえいればいいのよ。/ただ、一さいは過ぎて行きます。」改めてちゃんと太宰作品読むのは初めて。ネガティブで厭世的と敬遠していたけど、案外すんなり違和感なく読めた。虚栄、虚無に愚かで無知で純粋…どれも現実に蔓延っているものばかりだ。ただ、今は誰しも器用に隠すようになっていて目につきにくいだけで。ありのままの人間の姿ってむしろここにあるとさえ感じてしまった。『斜陽』『人間失格』が一番好き。客観的に見れば全くもって救いない道を敢えて歩んでいく人たちが本当に爽快。2014/08/06
たつや
7
ひとり太宰祭り開催中なので、ゆっくり、色々読んでいたが、ここで、一息という感じ、本書は図書館で何度も借りているが、編集って、改めて大事だなと思う。この短篇集には何故アレを入れない?等という勝手なストレスを感じることがあるが、本書は、「走れメロス」から「グッド・バイ」迄、ほぼ、有名どころは収められてるので、長時間の移動等にはオススメです。今回は「トカトントン」が面白かった。味わい深い作品だ。2024/12/10