内容説明
ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。第8回『このミス』大賞受賞作品。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。花園大学文学部国文科卒業。『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1752
ミステリーとしては、あれこれと難点が目につかないでもないが、ピアニストの回復物語としてはよくできている。全体を5楽章仕立てにしたのも気がきいているし、楽曲に向かう部分の描写は精緻で臨場感も素晴らしい。また、最終楽章のコーダはPrestoの勢いで、すべてを一気に終息させていく手法は見事だ。2012/04/04
Tetchy
1537
これは戦いの物語。音楽の求道者達が抱えた肉体的ハンデと戦い、そして世間と戦う物語。音楽用語で模された各章題は主人公が辿った生き様を見事に表していながらも突然障害者となった人々がその後の人生で辿る生き方をも示しているように思える。本書が殺人を扱いながらも実に清々しいのはこの章題に込められた作者の障害者への思いゆえだ。これほどまでに犯人に対して潔さや気持ちの良さを感じた作品はない。本書のどんでん返しは勿論犯人の正体だが、本当のどんでん返しはこの気持ちよさにあると思う。全くなんというデビュー作なのだ、本書は。2017/09/27
青乃108号
1053
ピアノは勿論弾けないし、楽譜すら読めない俺。そんな俺にも、知らない専門用語で怒涛のように描写されるクライマックスの演奏場面の凄さは十分に伝わってきた。魂の演奏を文字で伝える、驚くべき文章力。そしてラスト近くに明かされる衝撃の事実。その破壊力は【十角館の殺人】のあの1行以上に俺を打ちのめした。これは間違いなく傑作。素晴らしいの一言につきる。2022/04/26
れみ
882
ピアニストを目指す16歳の少女・遥の身内で次々に事件が起こり自らも全身大火傷を負いながらも若きピアニスト・岬洋介を教師にコンクールを目指し、そんななか身内を襲う事件の真相が明らかになる…というお話。ミステリーでもあり、「のだめ」的な音楽スポ根モノでもある感じで、ドビュッシーが聴きたくなります。謎解きのところは電車に揺られながら読んでいたけど思わずエーッ!と言いそうになった。そして個人的には探偵役の岬さんがかなり好き!他の作品にも登場しているみたいなのできっと読んじゃうだろうなあ。2013/03/11
再び読書
879
正直参りました。ネタバレ厳禁の感想です。まさか、こんなオチとは?しかし、最後まで読ませてしまう。。次作も楽しみです。ドビュッシーというのが多分通なのですね。でも、ぼくは全くのクラシック音痴です。作者のこの分野の狙いには到達できませんでした。でも、クラシックやピアノに通じていなくて十分楽しめました。今後も期待の作家にまた出合いました。2014/07/19