内容説明
受刑者の自殺が相次いだ北海道・北見刑務所。自殺を不審に思った遺族から調査依頼を受けた弁護士の伊崎晋介は、独房を視察中に意識を失ってしまう。原因の分らぬまま逃げるように東京に戻った伊崎の右眼には、不思議な影が浮かび上がるようになっていた。鎖で繋がれた死体、サーベルを持った男、眼に映る黒い影…。現代と過去がリンクし、伊崎たちに“呪い”が猛威を振るい始める。事件のカギは、明治維新後の北海道開拓の歴史にあった。第6回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
著者等紹介
桂修司[カツラシュウジ]
1975年生まれ。内科医師、医学博士。第6回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞、『呪眼連鎖』(宝島社)にて2008年12月デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
50
初読みの作家、題名からしてホラーものだと予想していました。現代と明治時代を交互に章立てしていて明治の方が読ませるストーリーになっていたミステリー要素もあり犯人捜しみたいなことも面白みもあり、最後まで飽きさせることがなかった。作者はだいぶ苦労されたことだろうが頑張っただけの作品になっていた。2023/09/30
らなん
15
初めての作家さん。2007年このミステリ一がすごいの大賞優秀賞の受賞作とのことでした。あとがきを見たら、この年、中山七里さんの作品もありました。刑務所の不審死を調べるため、北海道を訪れた晋介弁護士は、その後不可解な体調不良になり、現地の刑務官達にも同様の状態になっていることを知り、その原因を調査する為、再訪した。この話と交互に、明治時代の囚人による道路開拓工事の話も進むので、晋介には謎のままのことが、最後には読者には明らかになる。一気読み。この酷い道路開拓を調べると、史実だった。2020/12/12
nyanco
10
北海道開拓の暗黒史、囚人たちの強制労働の様が、ありありと描かれている。これだけでも小説として成り立つのではないかと思うぐらいの出来。それに比べると、現代の伊崎の人物像がぼやけているように感じる。あちこち荒は目立ちますが、これからが期待の作家さんだと思います。巻末の批評通り、この出来であったならば堂々の大賞受賞であったでしょう。時期外れの「このミス」刊行、お見逃しなく!2009/01/01
poke
8
面白い!明治期の流れに引き込まれ、一気に読んでしまいました。監獄ものや労働暗黒史関連は苦手なのに、このストーリーにはぐいぐい引き込まれた。このミステリーがすごい!の受賞作は期待が大きすぎて意外とがっかりすることが多かったけど、今回は大当たりで満足です。2010/09/28
mizuki
6
受刑者の自殺が相次いだ北海道・北見刑務所の調査依頼を受けた弁護士の伊崎晋介を主人公にした現代編と、明治維新後の北海道開拓に強制労働させられた囚人の河内泰造を主人公にした過去編が交互に描かれています。現代編は晋介に魅力が感じられず、あまり活躍していないのが残念です。呪い関連は納得できない部分が多々あり、埋めたところにまた行こうとしたのも不可解でした。過去編は素晴らしかったです。強制労働の史実を知らなかったので、とても引き込まれました。2009/12/12




